浴衣と甚平の違いは？夏の和装、どっちを選ぶか徹底解説！

こんにちは、「ハーモニーニッポン」ライターのあおいです。夏の風物詩といえば、やっぱり花火大会やお祭りですよね！そんな時、「今年は浴衣を着ようかな？それとも甚平が楽かな？」と悩んだ経験はありませんか？

浴衣と甚平、どちらも日本の夏を彩る素敵な和装ですが、その違いや、どっちをどんな時に着るべきか、意外と知らないことも多いかもしれません。特にメンズやレディース、子供用で選び方が変わるのか、夏祭りやデート、旅館でのリラックスタイム、あるいは寝巻きとして使うなら……と、疑問は尽きないですよね。また、形が似ている作務衣との違いが分からない、という声もよく聞きます。

この記事では、そんな「浴衣と甚平」に関するあらゆる疑問に、和装が大好きな私、あおいの視点からお答えしていきます。それぞれのルーツや構造の違いから、シーン別の使い分け、おしゃれな着こなしのコツまで、分かりやすく丁寧に解説していきますね。

浴衣と甚平、その決定的な違い

まずは、浴衣と甚平の基本的な違いについて、じっくり見ていきましょう。「なんとなく知ってる」という方も、改めてそのルーツや構造の違いを知ると、選び方がグッと明確になると思いますよ。

浴衣と甚平の構造的な違い

一番分かりやすい違いは、その「形」ですよね。この構造の違いが、着心地やTPOの違いにも直結しています。

浴衣は、基本「ワンピース」構造です。いわゆる「長着（ながぎ）」と呼ばれる一枚の布で体を包み込み、最後に帯を締めて固定します。平安時代の貴族が蒸し風呂で着た「湯帷子（ゆかたびら）」が原型とされていて、それが江戸時代に湯上り着として広まり、やがて夏の外出着へと進化していきました。

この歴史もあって、浴衣は体のラインを隠し、縦のラインを美しく見せるエレガントなシルエットが特徴です。「おはしょり」（裾をたくし上げて長さを調整する部分）を作ることで、さまざまな身長に対応できるのも着物ならではの知恵ですね。

一方、甚平は「ツーピース」構造。つまり、上衣（うわぎ）と下衣（ズボン）に分かれています。戦国時代の武士が着た「陣羽織（じんばおり）」がルーツという説もあるんですよ。上衣は帯を使わず、内側と外側の紐を結ぶだけで着られる手軽さが最大の特徴です。見た目も活動的で、リラックスしたカジュアルな印象になりますね。

浴衣と作務衣の違いも解説

甚平とよく混同されがちなのが「作務衣（さむえ）」です。私も和装に興味を持ち始めた頃は、この二つの違いがよく分かりませんでした。どちらも上下が分かれていますからね。

この二つの決定的な違いは、そのルーツと用途にあります。

もともと作務衣は、禅宗のお坊さんが「作務（さむ）」と呼ばれる日々の労働（お掃除や薪割り、畑仕事など）をするために着ていた「作業着」がルーツなんです。そのため、動きやすさと耐久性が何よりも重視されています。

対して甚平は、先ほどもお話しした通り、夏の「室内着」や「湯上り着」として発展してきました。だから、いかに涼しく快適に過ごせるかがポイントです。

この違いを、もう少し具体的に表で見てみましょう。

着付け難易度と必要なもの

「和装は着付けが難しそう…」と思っている方、多いですよね。手軽さで選ぶなら、これは甚平の圧勝です。

甚平の着付けと必要なもの

甚平は、Tシャツとズボンを着る感覚とほとんど同じ。上下を羽織って、上衣の紐を2か所（内側と外側）結ぶだけ。本当に数分で着られます。必要なものは甚平本体と、お好みでインナー（Tシャツやタンクトップ）くらい。とってもシンプルです。

浴衣の着付けと必要なもの

一方、浴衣は「イベント感」がある分、着付けは少し複雑です。慣れれば一人でも15分ほどで着られますが、初心者は少しハードルが高いかも。でも、この準備の時間も「ハレの日」の気分を盛り上げてくれるんですよね。

最低限、これくらいは必要になります。

「え、こんなに！？」と思われたかもしれませんが、最近は浴衣と帯、下駄、腰紐などがセットになった初心者向け商品も多いので、手軽に始めることもできますよ。着付け動画などもたくさんありますし、挑戦してみる価値は絶対にあります！

涼しさと動きやすさを比較

夏の和装ですから、快適性、特に「涼しさ」と「動きやすさ」は最重要ポイントですよね。これも、どちらを優先するかで選び方が変わってきます。

涼しさ

これは、甚平に軍配が上がることが多いです。

甚平は半袖・半ズボンで肌の露出が多いだけでなく、上衣とズボンの間に隙間があり、風通しが抜群です。生地自体も、表面に凹凸（シボ）があって肌に張り付きにくい「阿波しじら織」や「久留米ちぢみ織」といった、涼しさを追求した素材が伝統的に使われます。

浴衣ももちろん涼しい綿や麻の素材でできていますが、どうしても帯で胴回りをきっちり固定します。この部分に熱がこもりやすい、と感じる方は多いかもしれませんね。

動きやすさ

これはもう、圧倒的に甚平です。

ズボンタイプなので、歩く、座る、しゃがむ、といった日常の動作に何の制限もありません。屋台で買ったものを食べたり、お子さんを追いかけたりするのも楽々です。

浴衣は、裾があるため、自然と歩幅が小さくなります。この「歩幅が小さくなること」が、かえって所作を美しく見せる効果もあるのですが、大股で歩いたり走ったりするのには向きません。慣れない下駄で鼻緒ずれしてしまう、なんていうのも「浴衣あるある」ですよね。

メンズとレディースでの選び方

浴衣も甚平も、もちろん男女ともに楽しめますが、選び方のポイントや人気の傾向に少し違いがありますね。

メンズ（男性）の場合

メンズ浴衣は、なんといっても「粋（いき）」な印象を演出しやすいのが魅力です。花火大会などで、ビシッと角帯を締めて浴衣を着こなしている男性は、本当に素敵だと思います。色は紺、黒、グレーなどの落ち着いた色が定番ですが、最近は個性的な柄も増えていますね。

メンズ甚平は、リラックス感がありつつ、手軽に和の雰囲気を取り入れられるのが人気です。素材や色柄にこだわった「おしゃれ甚平」も多く、夏のワンマイルウェア（近所の外出着）としても定着しつつあります。

レディース（女性）の場合

レディース浴衣は、なんといっても「華やかさ」が魅力。色柄のデザインも、帯結びのアレンジも無限大で、夏のイベント気分を最高に盛り上げてくれます。「お祭り」や「デート」など、特別な日のために選ぶ方が多いですね。

レディース甚平は、これまでは室内着やパジャマとしてのイメージが強かったかもしれません。でも、近年は女性向けの可愛いデザインが急増中なんです！菊や朝顔といった伝統的な花柄や、レトロモダンな幾何学模様など、デザイン性が格段にアップしています。浴衣の窮屈さや着付けの手間が苦手な方、もっとアクティブに夏を楽しみたい方に、新しい選択肢として人気が出ていますよ。

浴衣と甚平のTPOと着こなし術

基本的な違いが分かったところで、ここからは「じゃあ、実際にいつ、どっちを着るのが正解？」という、具体的なシーン（TPO）別の使い分けと、着こなしのコツについてお話ししますね。ここを間違えると、せっかくの和装も台無しになってしまうかも…しれません。

夏祭りやデートにはどっち？

これは多くの方が一番悩むポイントだと思いますが、夏祭りや花火大会、夏のデートといった「特別なイベント」には、私は断然、浴衣をおすすめします。

理由は、やはりその「非日常感」と「華やかさ」です。浴衣は、着付けの手間や動きにくさといった実用面でのデメリットを補って余りある、特別な高揚感を与えてくれます。夜の灯りや花火にも、鮮やかな染めの柄がとても映えますし、写真映えもばっちりです。

もちろん、甚平が絶対にダメというわけではありません。特に、小さなお子さん連れで動き回らないといけないパパ・ママや、「とにかく屋台でたくさん食べたい！」という方には、動きやすくて楽な甚平も現実的な選択肢だと思います。

旅館や室内着としての使い方

旅館に着くと、まず「浴衣」が用意されていますよね。でも、あの浴衣は、私たちが夏祭りに着ていく外出着用の浴衣とは別物だと考えた方が良いです。

旅館の浴衣は、あくまで「湯上り着」や「寝巻き（パジャマ）」としての役割が主です。生地も寝巻き用に柔らかく、帯も簡易的なものがほとんど。あれで外出するのは、基本的には館内や温泉街の散策まで、というのがマナーですね。

では、自分でリラックスウェアを持参するなら？ これはもう、甚平が最適です。着脱が簡単で、帯のように締め付ける部分もなく、寝巻きとしても本当に快適。旅行の荷物としてもかさばらないので、私も温泉旅行にはお気に入りの甚平を持っていくことが多いです。

外出用のオシャレ浴衣は、帯や複数の紐で固定するため、室内でのリラックスウェアには全く向きません。TPOをしっかり分けたいですね。

子供用はどっちがおすすめ？

子供用の和装、とっても可愛いですよね！ これも悩ましい問題ですが、大人の事情（着せやすさ）と子供の快適さを考えると、私は「年齢」と「活発さ」で決めるのが良いと思います。

ただ、最近は子供用和装もすごく進化しています。大人の伝統的なスタイルにこだわる必要は全くない、というのが私の考えです。

進化する子供用和装

親の「着せやすさ」と子供の「可愛さ・動きやすさ」を両立させた、ハイブリッドなアイテムがたくさん出ているんです。

• 甚平ロンパース：ベビー（赤ちゃん）向け。股下がスナップボタンで開閉するロンパース型になっていて、おむつ替えが簡単な甚平として大人気です。
• 甚平ドレス：甚平のズボンがフリル付きのスカートやカボチャパンツになっているタイプ。女の子の可愛らしさが引き立ちます。
• 浴衣ドレス（セパレート浴衣）：これが今、女の子向けで一番人気かもしれません。浴衣の見た目（上衣）と、フリル付きのスカートが分かれたタイプ。着付けが簡単で、裾を踏む心配もなく動きやすい、まさに「いいとこ取り」なアイテムです。

こうした現代的な和装も活用しながら、親子で夏のイベントを楽しんでほしいなと思います。

おしゃれな甚平の着こなし方

「甚平＝お父さんの部屋着」というイメージは、もう古いかも。最近は「街着」としても着られる、おしゃれな甚平がたくさんあります。

「部屋着感」や「だらしなさ」を出さないためのコツは、素材感と小物使いです。

メンズ（男性）の着こなし術

男性が甚平を粋に着こなすには、「生地」が重要です。ペラペラな生地ではなく、生地の表面に凹凸のある「阿波しじら織」や「久留米ちぢみ織」など、伝統的な織りの技術が使われた素材を選ぶと、一気に高級感が出ます。

色は藍、紺、黒、グレー、生成りなどの伝統色や、かすり（絣）柄、しじら（縞）柄が定番で外しません。

そして小物。「外出着」として着用する場合は、足元はクロックスやサンダルではなく「雪駄（せった）」や「下駄」を。持ち物は「信玄袋」や「巾着」を合わせると、全体の格がぐっと上がり、粋な印象になりますよ。

レディース（女性）の着こなし術

女性向けのおしゃれ甚平も、選び方のコツは同じく「素材感」です。その上で、トレンドのレトロモダン柄（市松模様や大きめの花柄など）を選ぶと、一気に「おしゃれ着」感が出ます。

サイズ感も重要で、あまりダボっとしたものを選ぶと、本当にお父さんの甚平を借りてきたようになってしまうかも…。適度に体にフィットするサイズを選ぶのがポイントです。

着こなしのアイデアとしては、こんなのもありますよ。

浴衣に必要なインナーと肌着

これは浴衣を着る上で、私が最も重要だと思っているポイントです。特に女性の方は必ずチェックしてください！「浴衣を着たら、下着が透けていて恥ずかしかった…」なんて失敗、絶対に避けたいですよね。

浴衣は薄手の生地が多く、特に白地や淡い色のものは、私たちが想像している以上に透けます。また、夏は汗をかくので、高価な浴衣に汗ジミが付くのを防ぐためにも、インナー（肌着）は絶対に必須です。

インナー（肌着）の選び方

浴衣用のインナーの目的は、主に以下の3つです。

1. 1. 透け防止：下着や体のラインが透けるのを防ぐ。
   2. 汗対策：汗を肌着が吸い取り、浴衣本体への汗ジミや、汗で浴衣が肌に張り付くのを防ぐ。
   3. 着崩れ防止：肌着が滑りを良くし、浴衣の裾が足にまとわりつくのを防ぐ。

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一番安心なのは、専用の「和装スリップ（ワンピース型）」を着用することです。これ一枚で上半身も下半身もカバーできます。襟ぐりが大きく開いているので、浴衣の衿元から見える心配もありません。

もし代用するなら、襟ぐりが広く開いた（前後ともに）キャミソールやタンクトップと、ペチコートやロング丈のタンクトップ（お尻がすっぽり隠れる長さ）を組み合わせるのがおすすめです。

場面で選ぶ浴衣と甚平の使い分け

さて、ここまで色々な違いや特徴を見てきました。最後に、この記事のまとめとして、「あなたに最適なのはどっち？」という最終ガイドをお送りします。

結局のところ、浴衣と甚平に優劣はなく、あなたの「目的」によって使い分けるのが一番、ということですね。

あなたの目的とTPOを明確にし、最適な一着を選ぶことで、日本の夏をより豊かに、快適に楽しむことができると思います。今年の夏は、ぜひお気に入りの和装でお出かけしてみてくださいね！

ハーモニーニッポン

ブロガー

日々の生活の中に「和の心」を取り入れるライフスタイルを発信中。 ハーモニーニッポンでは、日本の四季・食・文化の魅力を世界に伝える記事を執筆しています。 好きな食べ物は焼き鳥。