たこ焼きソースとお好み焼きソースの違いは?代用可否も解説
たこ焼きを作ろうとした時、たこ焼きソースとお好み焼きソースの違いが分からず、どちらを使うべきか迷った経験はありませんか? 見た目は似ていますが、本当に味は違うのでしょうか。また、家にお好み焼きソースしかない場合や、焼きそばソースで代用できないか考えることもあるかもしれません。オタフクのような有名メーカーも両方のソースを出していますが、中濃ソースとの違いも気になるところです。この記事では、それらの疑問を解消し、各ソースの特徴や代用の可否について詳しく解説していきます。
- たこ焼きソースとお好み焼きソースの具体的な違い
- メーカー(オタフクなど)による特徴の違い
- お好み焼きソースや焼きそばソースでの代用方法
- 中濃ソースやとんかつソースとの比較
たこ焼きソースとお好み焼きソースの違いとは?
- ソースの起源と歴史
- 決定的な違いはメーカーによる
- 一般的な味の違い:甘み
- 一般的なとろみの違い
- 原材料や出汁の違い
- オタフクのソースの違い
ソースの起源と歴史

現在、私たちが使っている濃厚なソースの原型は、イギリス発祥のウスターソースにあります。このウスターソースが日本に伝わったのは明治時代とされており、その後、日本人の味覚や料理に合わせて独自の進化を遂げることになります。その過程で、とんかつソースや中濃ソースといった、日本独自のソースが誕生しました。
実のところ、たこ焼きやお好み焼きといった「粉もん文化」が普及し始めた当初は、専用のソースは存在しませんでした。そのため、多くの場合、家庭や屋台では既存の中濃ソースや、ウスターソースに独自のアレンジを加えたものが使われていたようです。
その後、戦後の復興と共に食文化が豊かになる中で、お好み焼きの具材(キャベツ、肉、魚介類)や生地に合うよう、野菜や果実の甘みを強調した「お好み焼きソース」が開発されました。そして、甘みの強い濃厚なソースがたこ焼きにもよく合うということから、お好み焼きソースがたこ焼きにも流用されるようになります。
次第に、メーカー各社が「たこ焼きには、もっとこういう味が合うのではないか」と研究を進め、たこ焼き専用のソースも開発されていったのです。このように、もともとは同じソースが使われていた、あるいは近いルーツを持つソースが、それぞれの料理に最適化される形で分化していった歴史があります。
決定的な違いはメーカーによる
結論から言うと、たこ焼きソースとお好み焼きソースの間には、法律などで定められた明確な定義や規格はありません。
どちらのソースもJAS(日本農林規格)の分類上は「濃厚ソース」という大きなカテゴリに含まれます。(詳しくは後述します)
ポイント
ソースの違いは、法律上の定義ではなく、「たこ焼き用」「お好み焼き用」として各メーカーが最適化したレシピの違いにあります。
では、なぜ商品名が分かれているのでしょうか。その理由は、各食品メーカーが「たこ焼きに最も合う味」「お好み焼きに最も合う味」をそれぞれ追求し、オリジナルのレシピで製造しているためです。言ってしまえば、「メーカーのこだわり」が最大の違いとなります。
例えば、あるメーカーはたこ焼きの「生地の出汁」を活かすために醤油の風味を効かせ、別のメーカーはお好み焼きの「多様な具材」をまとめるためにフルーティーな甘みを強調する、といった具合です。ブルドックソースのように、「お好み焼ソース」はラインナップしていても「たこ焼ソース」は(2025年10月現在)ラインナップしていないメーカーもあり、その戦略は様々です。
このように、メーカーがそれぞれの料理の特性や、ターゲットとする地域の嗜好性、一緒に食べられることが多いマヨネーズとの相性などを考慮して開発している点が、二つのソースの違いを生み出しています。
一般的な味の違い:甘み
メーカーによって違いはありますが、一般的な傾向として、たこ焼きソースの方がお好み焼きソースに比べて甘みが強いことが多いようです。
これは、それぞれの料理の構成要素が関係していると考えられます。お好み焼きは、キャベツ、肉、魚介類、卵など、多くの具材から旨味や甘みが出ます。そのため、お好み焼きソースは、それら多様な具材の味をまとめ上げ、引き立てるような、バランス型の甘さや旨味が求められる傾向にあります。
一方で、たこ焼きは基本的に生地とタコというシンプルな構成です。ソースの味が全体の印象を大きく左右します。そのため、生地の出汁の風味との相性や、タコ本来の味を邪魔しないことを前提としつつ、ソース自体にしっかりとした甘みやコクを持たせている製品が見られます。
たこ焼きにはマヨネーズをたっぷりかけることも多いですよね。あのマヨネーズの酸味とコクに負けない、しっかりとした甘さが、たこ焼きソースには求められるのかもしれません。
一般的なとろみの違い

味だけでなく、「とろみ(粘度)」にも明確な違いが見られます。これもメーカーの思想によりますが、主にそれぞれの料理の形状と食べ方に合わせて調整されています。
たこ焼きソースは、ご存知の通り球状のたこ焼きにかけた際に、ソースがすぐに垂れ落ちてしまわないよう、生地にしっかり絡む適度なとろみが付けられているのが特徴です。これにより、食べる時までソースがたこ焼きに留まり、均一に味を楽しめます。
一方、お好み焼きソースは、平面のお好み焼きに対して、ヘラやハケで塗り広げやすいよう、伸びの良い、比較的サラッとした粘度に調整されていることが多いでしょう。この「かけやすさ(垂れにくさ)」と「塗りやすさ」という、異なる機能性の追求が、とろみの差に反映されています。
豆知識:ソースの粘度分類
農林水産省が定めるJAS規格(日本農林規格)では、ソースはその粘度(Pa・s:パスカル秒)によって3つに分類されています。
- ウスターソース類:粘度が0.2Pa・s未満(さらさら)
- 中濃ソース類:粘度が0.2Pa・s以上2.0Pa・s未満(中程度のとろみ)
- 濃厚ソース類:粘度が2.0Pa・s以上(とろみが強い)
お好み焼きソースやたこ焼きソース、とんかつソースの多くは「濃厚ソース類」に分類されます。
(参照:JAS規格「ウスターソース類」PDF – 農林水産省)
原材料や出汁の違い
基本的な原材料である野菜や果実(トマト、りんご、デーツ、プルーン、たまねぎなど)は共通していることが多いです。これらの素材が、ソースの自然な甘み、酸味、そしてとろみを生み出しています。
違いが現れやすいのは、風味付けのための出汁(だし)や隠し味です。
たこ焼きソースには、生地の風味やタコと相性が良いように、醤油や、かつお・昆布などの魚介系の出汁を効かせ、和風の風味を強めている製品が多くあります。これにより、あっさりとした生地にも負けない、深みのある味わいを生み出しているのです。「だし醤油」に近い香ばしさを感じる製品もあります。
お好み焼きソースは、前述の通り多くの具材の旨味を引き立てるため、野菜や果実の甘みに加え、肉や魚介系のエキス(例:オイスターエキス(牡蠣)など)をバランス良く配合している場合があります。これにより、複雑な旨味(コク)をソースに付与しています。
オタフクのソースの違い
ソースの有名メーカーであるオタフクソースでは、お好みソースとたこ焼ソースの違いを明確に説明しています。ここでは代表的な「お好みソース(本格)」と「たこ焼ソース(本格)」を比較してみましょう。
オタフクソースの公式サイト情報(2025年10月時点)を基に比較すると、それぞれの開発コンセプトの違いがよく分かります。
| 項目 | お好みソース(本格) | たこ焼ソース(本格) |
|---|---|---|
| 発売年 | 1952年 | 1964年 |
| 味の特長 | 野菜と果実をたっぷり使ったまろやかな甘さ | お好みソースをベースに適度な酸味と香辛料を効かせている |
| 色・とろみ | (記載なし) | たこ焼が見映えよく仕上がる濃いめの色とつや、たれ落ちしないとろみ |
| おすすめ用途 | お好み焼、焼そば、たこ焼、ハヤシライスなど | たこ焼 |
このように、オタフクの場合は「お好みソース」を様々なメニューに使える万能な定番ソースと位置づけ、「たこ焼ソース」をよりたこ焼きに特化させ、酸味や香辛料、そして見た目の「色つや」まで調整した専用品としていることが分かります。
代用は可能?たこ焼きソースとお好み焼きソースの違い
- お好み焼きソースしかない時の代用
- 焼きそばソースでの代用は?
- 中濃ソース 違いと代用の可否
- とんかつソースでの代用
- 総括:たこ焼きソースとお好み焼きソースの違い
お好み焼きソースしかない時の代用

「たこ焼きを作りたいのに、お好み焼きソースしかない!」という場合でも、全く問題なく代用可能です。
前述の通り、両者に厳密な定義はなく、原材料も非常に似通っているためです。歴史的にも、お好み焼きソースがたこ焼きに使われていた時期が長くあります。オタフクの例でも、お好みソースの用途に「たこ焼」が含まれていることからも、代用できることがわかります。
ただし、製品によってはお好み焼きソースの方が甘さ控えめであったり、酸味が強かったりする場合があります。もし味に物足りなさを感じたり、もっとたこ焼き専門店の味に近づけたいと感じたら、少しアレンジを加えてみるのも良いでしょう。
代用時のアレンジ(一例)
お好み焼きソースを代用する際、より「たこ焼きっぽさ」を出したい場合は、以下を少し加えてみるのがおすすめです。(ソースの味を見ながら少量ずつ加えてください)
- 甘みが欲しい場合: 砂糖、はちみつ、みりん(加熱してアルコールを飛ばす)
- 出汁感・コクが欲しい場合: 醤油(少量)、めんつゆ(濃縮タイプ)
焼きそばソースでの代用は?
焼きそばソースでの代用も可能ですが、味わいや質感が異なります。
焼きそばソースは、その名の通り「焼きそば」を作るために最適化されています。鉄板で麺や具材と炒めた際に香りが立ち、味がしっかり麺に絡むように作られています。そのため、他のソースに比べて酸味や香辛料(スパイス感)が強く、とろみが少ない(さらっとしている)製品が多いのが特長です。
このため、たこ焼きにかけると以下のような違いが出ることがあります。
焼きそばソース代用時の注意点
- 思ったよりも味がスパイシーに感じられる場合がある。
- とろみが少ないため、ソースが垂れやすく、生地に染み込みやすい。
- 製品によっては酸味が強く感じられることがある。
もし甘みが足りない場合は、砂糖やはちみつ、あるいはケチャップを少量混ぜて、とろみと甘みを足す方法もあります。
中濃ソースとの違いと代用の可否

中濃ソースも、たこ焼きソースの代用品として十分に活躍します。
中濃ソースは、ウスターソースのスパイシーさやキレと、濃厚(とんかつ)ソースの甘みやフルーティーさの、ちょうど中間に位置するバランスの取れたソースです。関東地方などで特に一般的に使われており、揚げ物、炒め物、かけソースなど、幅広く使えるのが魅力です。
味わいは製品によりますが、お好み焼きソースやたこ焼きソースに比べると、甘みが控えめで酸味やスパイス感がやや強い傾向があります。そのため、そのままかけると少しさっぱりした、キレのある大人の味わいになるかもしれません。
もちろんそのままでも美味しいですが、もしお子様向けに甘みを足したい場合は、お好みで砂糖やはちみつを加えて調整すると、よりたこ焼きに合う味になります。
とんかつソースでの代用
とんかつソースも代用できますが、風味が少し変わる点に留意しましょう。
とんかつソースは、その名の通り「とんかつ」などの揚げ物に合うよう、野菜や果実のフルーティーな甘みが強く、とろみも強めに作られているのが特長です。これは、揚げ物の油っぽさを、ソースの酸味とフルーティーな甘みで中和し、さっぱりと食べられるようにするためです。
たこ焼きに使うと、甘みが強く濃厚で、やや洋風な仕上がりになります。これはこれでおいしいですが、もし和風の出汁感を加えたい場合は、醤油やめんつゆを少量混ぜて風味を調整するのがおすすめです。
ちなみに「ウスターソース」は、スパイシーで粘度がほとんどない(シャバシャバしている)ため、たこ焼きに「かける」と垂れてしまいがちです。もし使う場合は、別皿に入れて明石焼きのように「つける」方が良いかもしれませんね。
総括:たこ焼きソースとお好み焼きソースの違い
最後に、この記事で解説した「たこ焼きソースとお好み焼きソースの違い」に関する要点を改めてリスト形式でまとめます。
- たこ焼きソースとお好み焼きソースに法律上の明確な違いはない
- どちらもJAS規格では「濃厚ソース」に分類されることが多い
- 最大の違いはメーカーが各料理専用に開発したレシピやこだわり
- 元々は中濃ソースなどが両方に使われていた歴史がある
- お好み焼き用ソースが開発され たこ焼きにも使われるようになった
- 一般的にたこ焼きソースの方が甘みが強い傾向がある
- たこ焼きソースは球状でも垂れにくいよう適度なとろみが調整されている
- お好み焼きソースは平面に塗りやすさを考慮したとろみが多い
- たこ焼きソースは醤油や魚介系の出汁を含むことが多い
- オタフクの場合 たこ焼ソースは酸味と香辛料 色つやが特長
- オタフクのお好みソースは野菜と果実のまろやかな甘さが特長の万能型
- お好み焼きソースはたこ焼きの代用品として問題なく使える
- 焼きそばソースはとろみが少なくスパイシーなため代用時は注意が必要
- 中濃ソースも代用可能だが甘みを足すとより合う場合がある
- とんかつソースはフルーティーで濃厚な洋風の仕上がりになる
- ウスターソースはスパイシーで粘度が低いため かけるよりつける用途向き
