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浴衣の衿芯ガイド|必要性と簡単な入れ方

浴衣の衿芯ガイド|必要性と簡単な入れ方
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夏祭りや花火大会で浴衣を着るとき、衿元が「ふにゃふにゃ」してしまって、なんだかだらしなく見えてしまう…。そんな悩みを感じたことはありませんか?

あるいは、浴衣をもっと「着物風」に、シャキッと格好良く着こなしてみたい、という願望をお持ちかもしれませんね。

「そもそも浴衣に衿芯って必要なの?」、「もし入れるなら、どこに入れるのが正しいの?」、「衿芯はどこで売ってるの?」など、浴衣の衿芯に関する疑問は意外と多いものです。

この記事では、そんな「浴衣 衿芯」に関する様々な疑問にお答えしていきます。浴衣の伝統的な着方から、現代的な着こなしのテクニック、便利な美容衿(うそつき衿)の使い方、さらには衿芯の代用アイデアまで、わかりやすく解説していきますね。

記事のポイント
  • 浴衣に衿芯が必要かどうかの判断基準
  • 浴衣本体を加工せず衿芯が使える「美容衿」とは
  • 浴衣に衿芯を「直接」入れる具体的な方法や工夫
  • 夏に最適なメッシュ衿芯など道具の選び方

浴衣に衿芯は必要?基本知識と役割

浴衣に衿芯は必要?基本知識と役割

浴衣の衿元をどう見せるかは、全体の印象を大きく左右する重要なポイントですよね。ここでは、まず「浴衣と衿芯」の基本的な関係性について、深く掘り下げて見ていきましょう。伝統的な「くつろぎ着」としての側面と、現代の「お出かけ着」としてのニーズ、そして「着物風」に見せるための便利な小物の関係性について、一緒に確認していきましょう。

浴衣に衿芯は必要か?メリットとデメリット

まず、一番気になるこの疑問ですが、結論から言ってしまうと、浴衣に衿芯は「必須ではありません」。

もともと浴衣は、お風呂上がりの湯上がり着や、夏の夕涼みのための「くつろぎ着」として発展してきた歴史があります。そのため、着物のように長襦袢(ながじゅばん)などを着ずに、素肌や肌襦袢の上から直接さらりとまとうのが基本だったんですね。

この伝統的な着方では、衿芯は使いません。あえて衿を「くたっと」させて、柔らかい木綿や麻の生地がもたらすリラックス感を出すのが、浴衣本来の魅力とも言えます。

ただ、現代では浴衣も夏祭りや花火大会といった夜のイベントだけでなく、日中のショッピングや観劇、お食事会など、夏のお出かけ着としてその役割が大きく広がっています。

そうなると、「くつろぎ感」よりも「シャキッとした美しさ」や「きちんと感」を求める声が出てくるのも、とても自然なことかなと思います。そこで「衿芯を入れる」という選択肢が、現代的なテクニックとして生まれたわけですね。

衿芯を入れることには、はっきりとしたメリットとデメリットがあります。ご自身の目的と照らし合わせてみてください。

衿芯を入れるメリット

  • 美観の向上: 衿元が「シャキッ」と物理的に支えられることで、清潔感と上品さが格段にアップします。だらしなく見えてしまうのを防ぐ効果が一番大きいですね。
  • 着崩れの防止: 衿元が芯によって固定されるため、動いたり汗をかいたりしても衿合わせが崩れにくく、美しい着姿を長時間キープしやすくなります。(衿元以外の浴衣の着崩れ対策も併用するとさらに効果的ですね)
  • 美しい衣紋(えもん): 衣紋とは、首の後ろ側で衿を少し引いて開ける部分のことです。衿芯が入っていると、この「抜き」がしっかりと形作られ、首筋がすっきりと美しく見えます。
  • 「着物風」への格上げ: これが一番大きいかもしれません。衿元が整うだけで、浴衣が一気にカジュアルな夏着物のような、格調高い雰囲気になります。お出かけ着として着たい場合に最適です。

衿芯を入れるデメリット

  • 「浴衣らしさ」の減少: 衿が硬くシャープになることで、浴衣本来の「気軽さ」や「リラックス感」、柔らかい「くたっと感」が損なわれる可能性があります。
  • 着付けの手間: 当然ですが、衿芯を入れる、という工程が一つ増えます。特に後述するメッシュタイプは、挿入に少しコツが要るかもしれません。
  • 暑さ: 素材にもよりますが、特に昔ながらの通気性のないプラスチック製などの衿芯だと、首回りが蒸れやすくなる可能性があります。これは夏場には大きなデメリットですね。

結局のところ、伝統的な柔らかい着姿も、衿芯を入れたシャープな着姿も、どちらも間違いではありません。ご自身の好み、その日に着る浴衣の雰囲気(柄や素材感)、そしてお出かけするシーン(TPO)によって「入れたり入れなかったり」を自由に選べるのが、現代の浴衣の楽しみ方なんだと私は思います。

衿芯なしで着る浴衣の伝統的な着姿

衿芯なしで着る浴衣の伝統的な着姿

衿芯を「入れない」着方も、もちろん素敵です。先ほども触れましたが、これが浴衣の伝統的なスタイルであり、その良さも深く理解しておきたいですよね。

柔らかい木綿や麻の生地が、体のラインにやんわりと自然に沿う感じ。そのリラックスした「くたっとした」雰囲気、少し着崩れた感じも含めた「色気」や「風情」こそが、浴衣の醍醐味とも言えます。

特に、以下のようなシーンでは、衿芯なしのラフな着こなしがぴったりかなと思います。

  • 花火大会、夏祭り、盆踊り(特に夜のイベント)
  • 温泉街の散策、湯上がりのひととき
  • ご近所へのちょっとしたお出かけや、自宅でのリラックスタイム

温泉街などで、あえて衿芯なしでラフに着こなしている姿は、とても「粋」に感じますよね。TPOに合わせて、あえて「入れない」選択をするのも、浴衣の楽しみ方をよく知っている上級者のおしゃれかもしれません。

ただし、衿芯なしの場合でも、だらしなく見えすぎないように最低限のポイントは押さえたいところです。胸紐(むなひも)やコーリンベルト(後述)で、衿合わせの位置だけはしっかり固定しておくのがおすすめです。

浴衣を着物風にする美容衿(うそつき衿)

「浴衣に衿芯を入れたい」と考える方の多くは、その先に「浴衣を着物風に格上げしたい」というニーズがあるのではないでしょうか。日中のお出かけや、ちょっと良いお店での食事など、夏祭り以外で着たい場合ですね。

そんな方に、私が特におすすめしたいのが「美容衿(びようえり)」や「うそつき衿」「仕立て衿」などと呼ばれる便利な着付け小物です。

美容衿(うそつき衿)とは?

これは、長襦袢を着なくても、まるで長襦袢を着ているかのように「見せる」ための、衿だけの独立したパーツです。

あらかじめ「半衿(はんえり)」という装飾用の衿が縫い付けられていて、そして最も重要な点として、その内側に「衿芯を入れるためのスロット」が標準装備されているんです。

美容衿を使うメリットは、本当に大きいです。浴衣に衿芯を入れたい理由が「着物風にしたいから」である場合、これは「代替案」ではなく「最適解」だと私は思います。

  • メリット1:リスクゼロ
    後述する「浴衣に直接衿芯を入れる方法」とは違い、浴衣本体にハサミを入れたり、縫い目をほどいたりする必要が一切ありません。大切な浴衣、高価な浴衣を傷つけるリスクがゼロです。
  • メリット2:「スロット」と「見た目」の同時実現
    衿芯を入れるための「構造(スロット)」と、着物風の「見た目(半衿)」を、これ一つで同時に手に入れることができます。まさに一石二鳥ですね。
  • メリット3:汚れ防止
    浴衣の衿元は、直接肌に触れるため、皮脂やファンデーションで意外と汚れやすい部分です。美容衿を一枚挟むことで、浴衣本体の衿元が直接汚れるのを防いでくれる役割もあります。

美容衿の装着手順(一例)

美容衿の使い方は、製品によって少し異なりますが、一般的な手順を紹介しますね。

  1. 準備:まず、美容衿のスロットに、お好みの衿芯(夏ならメッシュがおすすめ)を挿入しておきます。
  2. 固定(省略可ですが推奨):着付けを始める前に、浴衣の衿(内側)と美容衿を、伊達襟用のピンや安全ピンで数カ所固定しておくと、着付け中にズレにくく安定します。
  3. 装着:肌襦袢の上から、まず美容衿を装着します。製品についている紐(リボン)を背中側に回し、しっかりと結んで衿元を固定します。
  4. 浴衣を羽織る:裾合わせ(着丈の決定)までは通常通り行います。
  5. 衿合わせ:先に固定した美容衿のラインに沿うように、その上から浴衣本体の衿を重ねて合わせます。あとは胸紐やコーリンベルトで固定し、おはしょりを整え、帯を結べば完成です。

美容衿の注意点

この方法は、美容衿が浴衣に隠れることが前提です。絽(ろ)や紗(しゃ)のような透け感が非常に強い浴衣や夏着物の場合、美容衿の布地が透けてしまうことがあります。しじら織や綿絽など、透け感の少ない浴衣での使用が推奨されます。

浴衣を「夏着物風」に着こなしたい場合、衿芯で衿元を整えるだけでなく、足袋を履いたり、この美容衿で半衿を見せたりすると、ぐっと「よそゆき」感が高まりますよ。私自身、日中に浴衣でお出かけする時などには、この美容衿をとても重宝しています。

衿芯はどこに入れる?着物との構造の違い

衿芯はどこに入れる?着物との構造の違い

多くの方が「浴衣への衿芯の入れ方がわからない」と悩むのには、はっきりとした構造的な理由があります。それは、着物と浴衣では、衿芯の「本来の居場所」が根本的に違うからなんです。

着物の場合:スロットがある

着物を着る時は、まず「長襦袢(ながじゅばん)」という下着を着ます。その長襦袢の衿には、「半衿(はんえり)」という布が、汚れ防止と装飾を兼ねて縫い付けられています。衿芯は、この長襦袢の「半衿の内側」にある隙間(スロット)に差し込んで使います。つまり、衿芯を入れるための専用ポケットが最初から用意されているんですね。

浴衣の場合:スロットがない

一方、浴衣は長襦袢を着ずに直接着るのが基本です。そのため、浴衣の衿には「半衿」が縫い付けられていません。結果として、「衿芯を入れるための正規の差し込み口」が、浴衣本体には原則として存在しないんです。

この「衿芯を入れるスロットが浴衣本体にない」という構造的な問題こそが、皆さんの混乱の原因なんですね。

「衿芯を入れたいけど、入れる場所がない!」というのは、当然の疑問だったわけです。

だから、浴衣に衿芯を入れるためには、

  1. スロットが標準装備されている「美容衿」を使う(推奨)
  2. 何らかの「工夫」をして浴衣本体に直接入れる

という、どちらかの選択が必要になるわけです。

浴衣の衿芯、入れ方と道具の選び方

浴衣の衿芯、入れ方と道具の選び方

浴衣に衿芯を入れると決めたら、次は「どうやって?」と「どれを?」という実践的な疑問が出てきますよね。ここでは、浴衣本体に衿芯を「直接」入れる具体的な方法から、もっと手軽な道具、そして特に夏にぴったりの衿芯の選び方まで、詳しく見ていきましょう。

浴衣への衿芯の入れ方。直接入れる方法

「美容衿」を使わずに、浴衣本体に「直接」衿芯を入れたい場合、あの「スロットがない問題」をどうにかして解決する必要があります。これには、いくつかの方法がありますが、浴衣の状態やご自身のスキルによって選ぶ必要があります。

方法A:お仕立て(最も推奨)

もし浴衣を新しく仕立てる(誂える)機会があれば、これがベストな方法です。呉服屋さんや和裁士さんに「衿芯が通るように仕立ててください」と一言依頼するだけ。そうすると、衿の内側(体に当たる側)の「掛け衿(かけえり)」の縫製を調整し、衿芯がスムーズに通る「通り道」を標準で作ってもらえます。見た目も美しく、何の心配もいりません。

方法B:既存の隙間を利用する(非破壊的)

お仕立てでなくても、一部の浴衣(特に既製品)では、衿の内側の縫製に、たまたま衿芯が通るくらいの隙間(穴)が開いていることがあります。

  • 確認箇所: 衿の内側(体に当たる側)、特に下前(右手に持つ側)の衿の脇(肩に近いあたり)や、衿肩あき(首元)に近い部分。
  • 方法: その隙間(穴)を見つけたら、そこに衿芯の端をそっと差し込み、生地をたぐり寄せながら、少しずつ反対側まで通していきます。
  • 注意点: これは浴衣の縫製仕様に完全に依存するため、全ての浴衣で可能なわけではありません。無理に差し込むと生地を傷めたり、縫い目を広げてしまう可能性があるので、あくまで「入ればラッキー」くらいに考えて、慎重に試してみてくださいね。

方法C:DIYで通り道を作る(破壊的・自己責任)

既存の隙間がない場合、最終手段として、自分で衿芯の通り道を作る(穴を開ける)方法もあります。

  • 手順: 衿の内側、下前(右側)と上前(左側)の衿肩あき(首元)に近い部分、または衿の端の部分の縫い目を決めます。裁縫用のリッパー(または小さなハサミ)を使い、衿芯が通る幅(約4〜5cm)だけ、掛け衿と地衿の間の縫い目を慎重にほどき、小さな切れ込み(穴)を作ります。

DIY加工の注意点(再警告)

この方法は、一度行うと元に戻せません。リッパーやハサミを入れるため、失敗して関係ないところまで切ってしまうリスクも伴います。

高価な浴衣、借り物の浴衣、人から譲り受けた大切な浴衣には絶対に行わないでください。もし実行する場合は、すべて「自己責任」となります。私は不器用なので、この方法は怖くて試したことがありません…。

クリップ式衿芯の簡単な使い方

「美容衿はちょっと大げさかも…でもDIYも怖い…」という方には、「クリップ式衿芯」という、さらに手軽な選択肢もあります。

これは文字通り、プラスチック製の芯に小さなクリップがついていて、浴衣の衿に直接パチンと留めて、衿の形を物理的に支えるタイプの衿芯です。

クリップ式衿芯のメリット

  • とにかく手軽。浴衣を羽織った後からでも付けられる。
  • 浴衣本体への加工は一切不要。
  • 安価なものが多い。

クリップ式衿芯のデメリット

  • 美容衿ほどの「着物風」効果や半衿の装飾性はない。
  • クリップで留めているだけなので、動きによってはズレたり外れたりする可能性がある。
  • 製品によっては、クリップ部分が表に響く(透けて見える)場合がある。

美容衿は「着物風に見せる」のが主目的ですが、こちらは「とにかく衿のふにゃふにゃだけを改善したい」という初心者の方や、応急処置的な使い方に向いているかもしれませんね。

衿芯の種類と特徴。船底型とストレート

衿芯の種類と特徴。船底型とストレート

一口に「衿芯」と言っても、いくつか種類があります。美容衿にセットしたり、直接入れたりする場合、どの衿芯を選ぶかも大切です。

通年用(プラスチック・ポリエチレン製)

最も一般的で安価なタイプです。適度なハリと厚みがあり、初心者の方でも扱いやすいのが特徴ですね。形状には主に2種類あります。

  • 船底型(ふなぞこがた): 中央がカーブしている形状です。このカーブが首元に自然にフィットしやすく、衣紋(首の後ろ)を深く抜く(開ける)着こなしに適していると言われます。私もこの形が好きで、着物には基本的にこれを使います。
  • ストレート型: まっすぐな棒状のものです。好みによりますが、船底型の方が体に沿いやすいかなと思います。

ただ、先ほども触れましたが、これらのプラスチック製は通気性がないため、夏の浴衣に使うと首回りがかなり蒸れやすく、暑く感じることがあるのが最大の難点です…。

巾(はば)の違い

衿芯には、巾(はば)の違いもあります。

  • 並巾(なみはば): 約4.3cm程度の標準的な幅。
  • 広巾(ひろはば): 約5cm程度の幅広タイプ。

広巾は衿元をよりしっかりさせることができますが、美容衿や長襦袢の半衿の幅によっては、スロットの差し込み口ギリギリになる場合があります。ご自身の美容衿のスロット幅を確認してから選ぶと安心ですね。

ここで、主な衿芯のタイプを簡単に比較してみましょう。

種類 主な素材 特徴(ハリ感) 涼しさ(通気性) 挿入の難易度 こんな人におすすめ
通年用(船底/ストレート) ポリエチレン樹脂 強い 低(蒸れやすい) 易(硬いため) とにかく衿をカッチリさせたい人。コストを抑えたい人。
夏用(メッシュ) ナイロン樹脂など 柔らかめ(程よい) 高(涼しい) 難(柔らかいため) 浴衣に最適。涼しさと適度なハリを両立したい人。
クリップ式 プラスチック 部分的 – (肌に触れない) 超簡単(留めるだけ) とにかく手軽に衿の形を整えたい初心者。

夏に最適、メッシュ衿芯の涼しさと評判

上の比較表でも触れましたが、夏の浴衣に使うという前提で、私が断然おすすめしたいのが「メッシュ素材の衿芯」です。

メッシュ衿芯の特徴

  • メリット: 最大のメリットは「通気性」です。樹脂加工されたナイロンなど、網目状の素材でできているため、汗をかいても蒸れにくく、涼しさを保てます。夏の着物や浴衣には本当にありがたい存在です。
  • デメリット: 通年用の硬いプラスチックと比べて「柔らかい」ため、しなります。そのため、美容衿や浴衣本体のスロットに挿入する際に、中で折れたりヨレたりしやすいという扱いの難しさがあります。

このメッシュ衿芯、挿入する時はちょっとコツがいります。焦らず、衿芯が中でよれないように細心の注意を払いながら、生地をたぐりよせつつ、ゆっくりと丁寧に作業するのが、美しい衿元に仕上げるコツですね。

実際にメッシュ衿芯を浴衣で使っている方の口コミを見ても、「硬すぎない、程よいハリ感が、着物ほどカッチリさせたくない浴衣の衿元に最適」「プラスチックのものより断然涼しい」と、とても評価が高いようです。「涼しさ」と「浴衣に合う適度なハリ感」を両立できるメッシュ衿芯は、まさに浴衣に使うのに最適解と言えるかもしれませんね。

衿芯はどこで売ってる?販売場所一覧

衿芯はどこで売ってる?販売場所一覧

さて、いざメッシュ衿芯を買おうと思っても、「どこで売ってるの?」と迷うかもしれません。衿芯は、一般的な洋服店などでは取り扱いが少ない、和装専門の小物なんです。

購入できる実店舗

  • 着物専門店、呉服屋
  • 大型デパート、百貨店の和装小物売り場

実店舗なら、店員さんに「浴衣に使う涼しい衿芯はどれですか?」と直接相談できるのがメリットですね。

購入できるオンラインストア

  • 楽天市場、Yahoo!ショッピング、Amazonなどの大手ECモール
  • 和装専門店のオンラインショップ(「きもの館 創美苑」さんや「たかはしきもの工房」さん、「キモノカフェ」さんなど、検索すると色々ありますね)

オンラインなら、種類も豊富で、レビューを比較しながら選べるのが便利です。

購入できない場所(注意)

100円均一ショップ(ダイソー、セリア、キャンドゥなど)や、ドン・キホーテ、ロフト、東急ハンズといったディスカウントストアやバラエティショップでは、残念ながら和装用の「衿芯」そのものは、ほぼ取り扱いがないようです。(※代用できる商品は後述します)

価格帯の目安

価格は素材やメーカーによりますが、あくまで目安として、

  • 通年用(プラスチック): 300円〜600円程度
  • 夏用(メッシュ): 400円〜1,200円程度

と、メッシュタイプの方が少し高価な傾向がありますが、その価値は十分あると私は思います。実店舗が近くにない場合は、オンラインショップで「衿芯 メッシュ」などと検索するのが、一番手軽で見つけやすいかなと思います。

緊急時の衿芯の代用アイデア。クリアファイル

「明日着るのに、衿芯を買い忘れた!今すぐ必要!」という緊急時のために、衿芯の代用アイデアも紹介しておきますね。

よく使われるのが、身近にある硬いシート状のものです。

  • クリアファイル(A4を縦にカットするなど)
  • 厚紙(お菓子の箱など。ただし汗で濡れるとふやけます)
  • 100円均一ショップのPPシート(ポリプロピレンシート)

これらを、お手持ちの衿芯があればそれを型紙にして、なければ幅4〜5cm、長さ80〜90cm程度の、衿芯の形(船底型かストレート型)に切り抜いて使用します。

代用品はあくまで応急処置です

私も昔、本当にどうしようもない時にクリアファイルで試したことがありますが…。正直なところ、専用品(特にメッシュ素材)と比べて通気性がゼロなので、首回りが汗でびっしょりになり、めちゃくちゃ蒸れますし、肌触りも悪くて快適さが全然違いました。

また、カットした断面が鋭利だと、浴衣や美容衿の生地を傷つけてしまう恐れもあります。

衿芯は数百円から購入可能なものがほとんどです。快適な着心地と大切な浴衣を守るためにも、できるだけ早めに専用品を手に入れることを強くおすすめします。

浴衣の衿芯を使いこなし、美しく着る

さて、ここまで「浴衣 衿芯」に関する道具(ハードウェア)や、その入れ方について詳しく見てきましたが、最後に一番大切なことをお伝えします。

それは、衿芯はあくまで衿元を支える「道具(ハードウェア)」にすぎない、ということです。その道具を最大限に活かすためには、美しい衿元を作る「技術(ソフトウェア)」、すなわち着付けのコツが必要不可欠なんですね。

どんなに良い衿芯を入れて衿がシャキッとなっても、着付けの段階で衿合わせの角度や固定が甘ければ、結局は動いているうちにだらしなく着崩れてしまいます。

美しい衿元の基本:「右前」は絶対ルール

浴衣も着物も、男女問わず必ず「右前(みぎまえ)」で着用します。これは、自分から見て右側の布地を「先に」体に巻き付け、その上から左側の布地を重ねる、あのおなじみの着方ですね。衿元が「y」の字に見える状態です。

時々「左前(ひだりまえ)」に着ている方を見かけますが、これは日本では亡くなった方(仏様)に着せる「死装束」の着方とされてしまうため、絶対に間違えてはいけないルールです。衿に「右手がスッと入る」向き、と覚えると忘れませんよ。

衿の仕立ての違い:「バチ衿」と「広衿」

実は、浴衣や着物の衿には、仕立て方に種類があることも知っておくと役立ちます。

  • バチ衿: 浴衣に最も多い仕立て方です。あらかじめ衿が半分の幅に折って縫われています(三味線のバチのように裾広がりな形からそう呼ばれます)。着る人は衿幅を気にする必要がなく、簡単に着付けられます。
  • 広衿(ひろえり): 着物と同様に、衿幅が広く(約11cm程度)仕立てられており、着る人が着付けの際に自分で半分に折って着付けます。衿幅を自分で調整できるメリットがあります。

もしお持ちの浴衣が「広衿」だった場合、衿芯(または美容衿)を入れた上で、衿幅を自分で半分に折る必要があります。みぞおちのあたりで左右均等に折ることが、美しく仕上げるコツです。

美しい衿合わせの角度と固定

衿合わせ(左右の衿が交差する角度)は、着物姿の印象を決定づける「要」です。

  • 角度: 一般的に、若い世代は角度を鋭角に(深く)合わせ、年代が上がるにつれて角度を鈍角に(浅く、のどのくぼみが見える程度)合わせると、上品で落ち着いた印象になると言われます。浴衣の場合はカジュアルなので、あまり詰めすぎず、少し浅め(鈍角)に合わせると涼しげな印象になりますね。
  • 固定: 衿合わせの角度を決めたら、それが動かないように胸紐でしっかりと固定することが着崩れ防止の鍵です。

この固定の際に、「コーリンベルト」というゴムベルト(着物ベルト)を使うと、衿元を理想的な位置で簡単にキープできるので、衿芯の有無にかかわらず、とてもおすすめなアイテムです。(コーリンベルトの詳しい使い方も参考にしてみてください)

半衿とのコーディネート

もし「美容衿」を使う場合は、自動的に「半衿」を見せるコーディネートになります。この半衿選びも、着物風の着こなしを左右する重要なポイントです。

  • 白半衿: 最も清潔感があり、TPOを選ばない基本です。浴衣の柄を選ばず、上品な印象を与えます。
  • 夏用の素材: 「麻絽(あさろ)」(通気性抜群で涼しい)や「絽(ろ)」「紗(しゃ)」(透け感があり涼しげ)といった夏用の素材の半衿を選ぶと、より快適です。
  • デザイン半衿: 色半衿や刺繍半衿、現代的なレース半衿なども人気です。浴衣の柄や帯の色とリンクさせると、高度なおしゃれコーディネートが楽しめますよ。

浴衣に衿芯を使用することは、伝統的な着方ではありませんが、現代のライフスタイルに合わせて浴衣を「夏のお出かけ着」として美しく、そして格好良く楽しむために、とても有効なテクニックだと私は思います。

ご自身の目指すスタイルやTPOに合わせて、便利な道具(ハード)と、正しい着付けの技術(ソフト)を上手に取り入れながら、浴衣の楽しみ方を無限に広げてみてくださいね。

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ブロガー
日々の生活の中に「和の心」を取り入れるライフスタイルを発信中。 ハーモニーニッポンでは、日本の四季・食・文化の魅力を世界に伝える記事を執筆しています。 好きな食べ物は焼き鳥。
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