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着物の数え方:「枚」と「着」の違い、わかりますか?

着物セットの数え方「一式」「揃い」
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こんにちは!和文化が大好きで、最近とくに着物にハマっている「ハーモニーニッポン」ライターの私です。着物って本当に奥が深いですよね。最近、着物を整理していてふと「あれ?」と思ったんです。「この着物、数え方は『一枚』?それとも『一着』?」

洋服なら「一着」が自然ですけど、着物だと「枚」とも言いますし、歴史ドラマだと「領(りょう)」なんて言葉も出てきたり…。浴衣や帯、袴、羽織など和装品によっても数え方の単位が違うみたいで、正直ちょっと混乱しませんか?

Webの仕事柄、情報をきれいに整理するのが好きな私としては、このモヤモヤはスッキリさせたい!と思い、着物の数え方やその違いについて、しっかり調べてまとめてみました。

この記事では、そんな着物の数え方に関する様々な疑問を、わかりやすく整理していきますね。

記事のポイント
  • 「枚」と「着」の基本的な使い分け
  • 歴史的な単位「領」の意味と使われ方
  • 帯や袴、羽織など和装品ごとの数え方
  • 迷った時に役立つ早見表

基本的な着物の数え方:「枚」と「着」

基本的な着物の数え方:「枚」と「着」

まずは、一番よく使う基本のキ、「枚(まい)」と「着(ちゃく)」の使い分けから見ていきましょう。この二つ、実は着物の「状態」によって使い分けるのがポイントみたいですよ。日常で一番迷うのがこの二つだと思うので、ここでしっかりスッキリさせていきましょう!

着物の数え方「枚」と「着」の違い

現代の会話で着物を数えるとき、一番なじみがあるのは「枚(まい)」と「着(ちゃく)」の二つかなと思います。

私も最初は「どっちでもいいのかな?」と思っていたんですが、どうやら明確な使い分けのロジックがあるみたいなんです。このロジックがわかると、もう迷わなくなるかもしれません。

「枚(まい)」:畳まれた「モノ」としての状態

「枚」は、Tシャツやタオルのように、畳まれて「平面的な布製品」になっている状態を指すときに使うのが基本です。呉服屋さんで畳まれて陳列されている商品や、タンスにしまってある着物は「一枚、二枚」と数えるのが自然ですね。

これは、着物がまだ「衣服」としての機能を発揮しておらず、単なる「平面的な物品(オブジェクト)」として認識されているからです。

このロジックは他の和装品にも当てはまります。

  • 襦袢(じゅばん)
  • 肌着(はだぎ)
  • 裾除け(すそよけ)

こうした着物の下に着る薄手の和装品も、すべて「一枚、二枚」と数えるのが一般的です。

豆知識:なぜ「枚」が万能?

HTMLで言うと、`<div>`タグみたいに汎用的に使える単位が「枚」なのかもしれません。平面的なモノなら何でも数えられるので、現代では一番使いやすい単位になってるんですね。お店で「素敵な着物が一枚ありますよ」と言われたら、それは「畳まれた状態の商品」を指しているわけです。

「着(ちゃく)」:着用された「衣服」としての状態

一方で「着(ちゃく)」は、洋服を「一着、二着」と数えるのと同じ感覚です。

ポイントは、仕立て上がった「完成品」であり、人が「着用している」状態、つまり「衣服」としての機能(ファンクション)を発揮している状態を指すことです。

「素敵な着物を一着お持ちですね」といった場合は、その人が着ている姿や、帯や小物も含めてコーディネートされた状態をイメージさせます。

また、こういう場面でも「着」がふさわしいかなと思います。

  • 格のある礼装を指すとき
    訪問着、留袖、振袖といった「ハレの日」のための特別な衣装は、単なる「布」としてではなく、TPO(時・場所・場合)をわきまえた「完成品の衣服」としての意味合いが強いですよね。そのため「枚」よりも「着」の方がしっくりくることが多いかもしれません。
  • 仕立て上がったことを強調するとき
    「反物から、ようやく一着の訪問着が仕立て上がった」というように、完成品であることを示す際にも使われます。

使い分けのポイント

畳んであれば「枚」、着ていれば「着」と覚えるのが一番シンプルですね!

タンスにあるうちは「枚」、それを身にまとった瞬間から「着」に変わる、とイメージすると分かりやすいかなと思います。

歴史的な着物の数え方「領」とは?

歴史的な着物の数え方「領」とは?

着物の数え方を調べていて、一番「へぇ!」と思ったのがこの「領(りょう)」という単位です。時代劇とかで聞くことがあるかも?

これはとても歴史のある単位で、なんと語源は着物の「襟(えり)」(昔の言葉で「領」)から来ているそうです。ちなみに、和装でよく見る「衿」という字は、着物の前合わせの形から来ているとも言われていますね。

昔は、着物の襟の部分を持って数を数えたんだとか。

特にこの単位が重要だったのが、平安時代の宮廷文化です。十二単(じゅうにひとえ)のように、衣装を何枚も重ね着するとき、その襟元の色の重なり(色目)がセンスの見せ所だったそうです。季節やTPOに合わせて、色のグラデーションやコントラストを競い合っていたんですね。

だから「一領、二領」と数えるのは、単なる枚数確認じゃなくて、「いくつの美意識が重なっているか」を評価するような、とても文化的な意味合いがあったんです。素敵ですよね。

現代での「領」の使われ方

現代では日常で「着物を三領持ってます」とは、まず言わないですよね。博物館の収蔵品目録や、専門的な文献で使われる「学術用語」のような立ち位置になっています。

例えば、文化庁のデータベースなどで古い小袖(こそで=現代の着物の原型)の資料を見ると、「小袖 1領」といった記述が見つかることがあります。(出典:文化庁「文化遺産オンライン」など)

古い文書を読むときに「領」と出てきたら、「ああ、着物や羽織のことだな」と理解できると良いですね。

浴衣の数え方は「枚」が一般的

浴衣の数え方は「枚」が一般的

夏の定番、浴衣(ゆかた)の数え方ですが、これは基本「枚(まい)」でOKです。

浴衣も着物の一種ではありますが、どちらかというとTシャツやパジャマに近い、ラフで平面的な布製品という感覚が強いからかもしれませんね。お店で売っている状態も畳まれていますし、「浴衣を一枚買った」というのが一番自然な表現かなと思います。

もちろん、花火大会などで人が着用している状態を指して「素敵な浴衣を一着着ている」と言うのも間違いではありませんよ!このあたりは「枚」と「着」の基本ルールと同じですね。

着物セットの数え方「一式」「揃い」

着物セットの数え方「一式」「揃い」

成人式の振袖や七五三の衣装など、着物って一式まとめてレンタルしたりしますよね。こういう「セット」にも、ちゃんと数え方がありました。これも目的によって単位が違っていて、面白いんです。

「一式(いっしき)」:小物も全部入り!

「一式」は、最も包括的なセットを指す言葉です。着物や帯だけじゃなく、それに付随する全てのアイテムを含んだ「完全なパッケージ」を意味します。

具体的には、以下のような「商取引上」のセットでよく使われます。

  • 成人式の振袖レンタル(振袖、帯、長襦袢、帯締め、帯揚げ、草履、バッグ、ショール、着付け小物一式…など)
  • 七五三の祝い着(七五三の着物、被布、草履、巾着…など)
  • 婚礼衣装(白無垢、色打掛、紋付袴、小物一式…など)

「それさえあればOK」な全てのアイテムを含んだセットが「一式」ですね。

「揃い(そろい)」:統一されたコーディネート

「揃い(そろい)」は、もう少し範囲が狭くて、デザインや格が統一された「コーディネート」一式を指します。代表的なのは、男性の第一礼装である「紋付羽織袴(もんつきはおりはかま)一揃い」といった使い方です。

これは、着物、羽織、袴が「共布(ともじ)」と呼ばれる同じ生地で作られていたり、デザイン的に統一感が取れていたりする「視覚的なセット」を指すことが多いですね。

専門的な単位「具(ぐ)」

歴史的には「具(ぐ)」という単位もあって、これは「必要なものを備える」という意味合いが強い言葉です。甲冑(かっちゅう=鎧)を「一具」と数えたり、狩衣(かりぎぬ)のような特定の装束一式を数えたりする、専門的な単位だそう。奥が深いです…

3つの「セット単位」の使い分け

  • 一式(いっしき):レンタルなど、小物も全部含んだ「商取引上のフルセット」。
  • 揃い(そろい):紋付羽織袴など、デザインが統一された「コーディネートのセット」。
  • 具(ぐ):甲冑や装束など、機能的に完結した「専門的・歴史的なセット」。

こうして見ると、何が「揃って」いるかによって単位が違うのが分かりますね。

反物の数え方「反」について

最後に、着物そのものではなく、仕立てる前の「原材料」である布地、つまり「反物(たんもの)」の数え方です。

これは専門の単位があって、「一反(いったん)、二反(にたん)」と数えます。「反」というのは、単なる数ではなく、布地の「規格」を示す単位なんですね。

一般的に「一反」は、大人の着物一着分(これを「一着尺(いっちゃくじゃく)」と言ったりもします)に必要な布地の量を指します。

  • 長さ:約12メートル ~ 13メートル
  • 幅:約36cm ~ 40cm程度(並幅)

呉服屋さんで巻物みたいになっている布地を見かけたら、あれが「一反」なんだな、と思ってみると面白いかもしれません。あの長い布から、私たちの身体に合わせた着物が仕立てられるわけですね。

和装品別・着物の数え方と関連知識

和装品別・着物の数え方と関連知識

着物本体の数え方がわかったところで、次は「帯(おび)」や「袴(はかま)」、足袋(たび)といった和装品たちの数え方を見ていきましょう。こちらもアイテムの形で単位が決まっていて、知ると「なるほど!」となりますよ。

帯の数え方:「本」が基本

着物姿のアクセントになる「帯(おび)」。これは、その細長い形状から「一本(いっぽん)、二本(にほん)」と数えるのが最も一般的です。

袋帯や名古屋帯、半幅帯など、多くの帯はこの「本」で数えます。「帯は細長いもの」という認識が、そのまま数え方になっているのが分かりやすいですよね。

「条(じょう)」や「筋(すじ)」という数え方もあるそうですが、これは「一条の光」のように、より細長さや線的なイメージを強調する数え方で、少し専門的か、文学的な表現かもしれませんね。

注意:兵児帯(へこおび)は「枚」?

ただし、例外があります。男性や子供が使う、くしゅっとした柔らかい「兵児帯(へこおび)」です。あれは一般的な帯とは違って、広げると一枚の幅広い布になりますよね。

そのため、畳んだり広げたりする状態を指して「一枚、二枚」と数えることもあるそうです。着物本体を「枚」で数えるのと同じロジックです。

もちろん、帯も仕立てる前の「帯地(おびじ)」と呼ばれる反物の状態なら、着物と同じく「一反、二反」と数えます。

モノの形状や状態で単位が変わる…なんだかHTMLのタグの使い分け(インライン要素かブロック要素か、みたいな)に通じるものがあって、個人的にはすごく興味深いです。

羽織の数え方:「枚」と「領」

羽織の数え方:「枚」と「領」

カーディガンのように着物の上から羽織る「羽織(はおり)」。この数え方は、基本的に着物本体とまったく同じと考えてOKです。

一般的な数え方:「枚(まい)」

畳んでタンスにしまってある状態や、お店の商品を指すときは「一枚、二枚」を使います。これが一番一般的な数え方ですね。

専門的な数え方:「領(りょう)」

そして、着物と同じように羽織にも「襟(領)」がありますよね。そのため、歴史的・専門的な文脈では「一領、二領」と数えることもあります。

羽織も「領」で数えることがある、と知っているだけで、博物館などで資料を見たときに「なるほど!」と思えるかもしれません。ちょっと通な感じがしませんか?

袴の数え方:「枚」や「腰」

袴の数え方:「枚」や「腰」

卒業式などで活躍する「袴(はかま)」。これにはいくつかの数え方が共存していて、どれを使っても間違いではないようです。

一般的な数え方:「枚(まい)」

一番簡単なのは、やはり汎用的な「一枚、二枚」ですね。畳めば平面的な布製品ですから、現代ではこの数え方が一番多いかもしれません。

伝統的な数え方:「腰(こし)」

ただ、袴ならではの伝統的な数え方として「一腰(ひとこし)、二腰(ふたこし)」という単位もあります。これは「腰」に着用する衣服である、という身体的な特徴から来ている単位で、とても分かりやすいですよね。

個人的には、この「腰」という数え方、とても風情があって好きです。

豆知識:「具(ぐ)」とも数えた?

さらに昔、武士が着ていた「裃(かみしも)」という肩が張ったベストのような服と袴がセットだった時代には、そのセットを「一具(いちぐ)」と数えた名残で、袴を「具」で数えることもあったそうです。

日常では「枚」、ちょっとこだわりたい時は「腰」と、文脈によって使い分けられると素敵だなと思います。

足袋や草履の数え方:「足」

足袋(たび)、草履(ぞうり)、下駄(げた)といった履物類。これらは左右ペアで初めて機能するものですよね。

そのため、数え方は靴や靴下とまったく同じ。左右一組で「一足(いっそく)、二足(にそく)」と数えます。これは直感的で分かりやすいですね。

片方だけなら「枚」、昔は「両」

ちなみに、万が一(ないと思いますが…)片方だけを指す場合は「一枚」と数えるそうです。ペアであることが前提の「足」という単位、合理的ですよね。

また、古くは二つで一対のものを「両(りょう)」と数えることもあり、足袋の原型とも言われる「襪(しとうず)」という履物は今でも「両」で数えることがあるそうです。

扇子など和装小物の数え方

扇子など和装小物の数え方

和装小物も、それぞれユニークな数え方を持っています。アイテムの「形」や「使い方」がヒントになっていますよ。

扇子(せんす)

扇子は、状態によって数え方が変わる面白いアイテムです。

  • 閉じた状態:「一本、二本」
    畳むと細長い「棒」状の物体になります。そのため、帯と同じ「本」で数えられます。
  • 開いた状態:「一枚、二枚」(または「一面」)
    広げると平面的な「面」を構成します。そのため、この状態では「枚」で数えられます。

これも、モノの形状を素直に反映した結果ですね。(日本の扇子の意味や歴史に触れると、さらに面白いですよ)

羽織紐(はおりひも)

羽織の胸元で結ぶ「羽織紐」。あれは左右一対で使いますよね。

足袋や草履と考え方は同じで、ペアであることを示す「一組(ひとくみ)、二組(ふたくみ)」や「一対(いっつい)」と数えます。これも納得の数え方です。

場面別「着物の数え方」早見表

ここまで色々な数え方を見てきましたが、情報量が多くて混乱しちゃうかも…。

そこで、HTMLエンジニアの血が騒ぐじゃないですけど、情報を整理して「早見表」にしてみました。基本は「一般的な単位」を使えばOKですが、豆知識として専門的な単位も載せておきますね。

(スマホの方は横にスクロールできるかも!)

対象の和装品 ① 一般的な単位 (現代) ② 専門・文脈的な単位 ③ 歴史・特殊な単位
着物(全般)・浴衣 枚(まい) (畳んだ状態) 着(ちゃく) (着用状態・仕立て品) 領(りょう) (歴史的文書)
羽織 枚(まい) 領(りょう) (専門的)
枚(まい) 腰(こし) (伝統的) 具(ぐ) (裃とセットの場合)
帯(袋帯・名古屋帯など) 本(ほん) (細長い形状) 条(じょう)、筋(すじ)
帯(兵児帯) 枚(まい) (広げた状態) 本(ほん) (細く畳んだ状態)
反物(着物・帯) 反(たん) (規格単位)
足袋・履物(草履・下駄) 足(そく) (左右ペア) 枚(まい) (片方のみ) 両(りょう) (古語・襪など)
扇子 本(ほん) (閉じた状態) 枚(まい) (開いた状態)
羽織紐 組(くみ) (ペア) 対(つい) (ペア)
礼装セット 一式(いっしき) (小物含む) 揃い(そろい) (コーデ一式) 具(ぐ) (装束など)

結論:迷ったらどうする?

いろいろありましたが、現代の日常会話では、これでOK!と覚えておくと安心です。

  • 着物や羽織、袴など畳める布製品は「枚(まい)」
  • 帯は「本(ほん)」
  • 足袋や草履は「足(そく)」

これだけ覚えておけば、まず困ることはなさそうです!

今回の「着物の数え方」のように、理由や背景を知ると、ただのルールだったものが急に面白く、愛おしく感じてくるから不思議ですよね。日本語の奥深さと、昔の人のモノへのまなざしを感じた気がします。和文化の勉強、ますますハマってしまいそうです!

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ブロガー
日々の生活の中に「和の心」を取り入れるライフスタイルを発信中。 ハーモニーニッポンでは、日本の四季・食・文化の魅力を世界に伝える記事を執筆しています。 好きな食べ物は焼き鳥。
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