着物の普段着はおかしい?を解消!格とコーデ術
「着物を普段着にするのは、もしかしておかしいかな?」…そう検索した方、多いんじゃないかなと思います。
素敵な日本の伝統衣装なのに、いざ自分が着るとなると「恥ずかしい」「なんだかコスプレみたいに見られそう」って、ためらってしまいますよね。
私もずっと、なぜ着ないんだろう?って不思議だったんです。着物にはメリットもデメリットもあるけれど、一番の壁は「難しそう」っていうイメージかもしれません。
でも、その不安って、実は「着物の格」をちょっと誤解しているだけかもしれないんです。結婚式で着る着物と、私たちが楽しみたい普段着の着物とでは、ルールが全然違います。
普段着用には、木綿やウールみたいに、おうちで洗濯できる簡単な種類もたくさんあるんですよ。
この記事では、普段着のマナーやTPOはどこまでOKなのか、初心者が失敗しないリサイクルでの始め方、ブーツやスニーカーを合わせる和洋折衷コーデのコツ、さらには「ふりふ」さんみたいなブランドや、素敵なインフルエンサーさんたちの着こなしまで、「おかしいかも」という不安を「おしゃれかも」に変えるヒントを、私の目線でまとめてみました。一緒に普段着物、始めてみませんか?
- 「おかしい」と感じる7つの理由とその誤解
- 普段着に最適な着物の「格」と種類
- 初心者でも安心なTPOと自由なルール
- リサイクルや和洋折衷で楽しむ始め方
「着物の普段着はおかしい」と感じる理由とは?
「着物を普段着に」って思うと、なんだか周りの目が気になっちゃいますよね。でも、その「おかしいかも」という感覚、実は私たちに染み付いたいくつかの「思い込み」が原因かもしれません。まずはその正体から見ていきましょう。
恥ずかしい?コスプレ?なぜ着ないのか

着物って素敵なのに、いざ自分が普段着として着るには「恥ずかしい」「コスプレみたいで浮いちゃうかも…」って感じてしまいますよね。私もそうでした。この感覚、実は戦後のライフスタイルの変化が大きな理由みたいです。
昔と違って、今は洋服が当たり前。洋服はボタン一つで着られて、椅子に座る生活や忙しい家事にもぴったり。その流れで、着物は「動きにくい」とか「特別なもの」っていうイメージだけが残ってしまったんですね。
「着物=高価な正絹(シルク)」という固定観念も大きいです。結婚式で着るような高価な着物を見て、「あんなのを日常で着るなんて…」と思っちゃう。でも、昔は木綿やウールみたいな、安くて洗いやすい普段着がちゃんとあったんですよね。それが忘れられちゃった感じです。
他にも、こんな理由が重なっているかなと思います。
- 着付けが難しそう:一人で着られない、時間がかかるというイメージ。
- 手入れが大変そう:正絹は家で洗えない、クリーニング代が高いという認識。これが最大の壁かも。
- 着る機会がない:学校や職場で着る習慣がなくなり、「特別な日だけのもの」になった。
- 人から見られる:結果的にすごく目立つ存在になり、「ジロジロ見られるのが嫌」という抵抗感。
こうした理由が絡み合って、「普段着に着るなんておかしい」という不安が生まれてしまったんだと思います。
着物を普段着にするメリットとデメリット

着物を普段着にすることについて、良いところ(メリット)と、ちょっと大変なところ(デメリット)を正直にまとめてみました。これを比べると、自分に合っているか見えてくるかも。
まずはメリットから
<身体的なメリット>
- 姿勢が良くなる:帯が体幹を支えてくれて、自然と背筋が伸びます。
- 体が温まる:帯や重ね着でお腹周りが温かいのは、特に女性には嬉しいポイントかも。
<精神的・社会的なメリット>
- 気分がシャキッとする:帯を締めると、気持ちも引き締まります。
- 覚えてもらいやすい:着物姿は印象に残るので、コミュニケーションのきっかけになることも。
- 長く着られて経済的:洋服みたいに流行り廃りが激しくないので、良いものを手入れして一生着られるのは、長い目で見るとお得かもしれません。
気になるデメリット(と解決策)
<時間と手間>
- 着るのに時間がかかる:やっぱり洋服よりは時間がかかりますね。
→(解決策)でも、普段着なら練習すれば10分くらいで着られるようにもなるみたいです。 - 気温の変化に対応しにくい:すぐに脱ぎ着ができないのは事実です。
→(解決策)タートルネックを中に着たり、ストールを使ったり、和洋折衷コーデで調整できますよ。
<コストと視線>
- 初期費用がかかる:一式揃えるとなると、洋服より高く感じます。
→(解決策)リサイクル着物なら、数千円からでもスタート可能です。 - 人から見られる:これは避けられないですね(笑)。
→(解決策)「見られる」を「注目されてる!」っていうポジティブな個性に変えちゃうのが一番かなと思います。
解決の鍵は「着物の格」を知ること
「着物 普段着 おかしい」と感じる不安のほとんどは、「礼装(フォーマル)」と「普段着(カジュアル)」をごっちゃにしていることから来ているんです。
洋服で考えてみると分かりやすいかも。タキシードやイブニングドレスを着てスーパーに行ったら、それは「おかしい」ですよね。それと同じで、結婚式で着るような振袖や黒留袖は「礼装」なので、これをカフェで着ていたらTPO違いなんです。
着物にも洋服と同じように「格(かく)」というフォーマル度のレベルがあります。この「格」さえ分かれば、もう何も怖くありません!
着物の格は、主に生地の素材や柄、そして「紋(家紋)」の数で決まります。
| 格 (フォーマル度) | 主な着物の種類 | 特徴 | TPO (着る場面) |
|---|---|---|---|
| 第一礼装 (最もフォーマル) |
黒留袖、振袖 | ・正絹 ・五つ紋 ・裾だけに柄 |
【普段着はNG】 結婚式(親族)、成人式 |
| 準礼装 (セミフォーマル) |
訪問着、色無地(紋付) | ・正絹 ・三つ紋か一つ紋 ・柄が繋がっている |
【普段着はNG】 結婚式(ゲスト)、パーティー |
| 普段着 (カジュアル) |
小紋、紬、木綿、ウール | ・紋なし ・洗える素材も多い ・全体に柄がある |
【普段着に最適】 カフェ、買い物、美術館 |
この表の通り、私たちが目指すのは一番下の「普段着」のカテゴリー。これを選べば、何も「おかしい」ことはないんです。
普段着に適した着物の種類(木綿やウール)

じゃあ、具体的に「普段着」として着られる着物ってどんなものがあるんでしょうか。礼装とは違って、これらは基本的に「紋なし」で、自由におしゃれを楽しむためのものです。
1. 小紋(こもん)
着物全体に細かい模様が繰り返し入っている着物です。洋服でいうと、プリントワンピースみたいな感じかな。柄が豊富で個性を出しやすいので、観劇や友人との食事、美術館みたいに、ちょっとおしゃれしたい日常のお出かけにぴったりです。
2. 紬(つむぎ)
もともとは野良着だった、丈夫な絹織物です。素朴な風合いが特徴で、「普段着としては最高級」なんて言われることも。洋服なら、上質なデザイナーズデニムみたいな存在かも。街歩きやショッピングに良いですね。
3. 木綿(もめん)
普段着物を始めるなら、私はまずこれをおすすめしたいです! 洋服のTシャツやデニムみたいに肌触りが良くて丈夫。そして何より、自宅で洗濯できるのが最大のメリット!会津木綿とか伊勢木綿とか、いろんな種類があってお手頃なのも嬉しいポイントです。
4. ウール
洋服のセーターと同じで、秋冬用の暖かい着物です。これも木綿と同じように自宅で手入れが可能で、シワになりにくいのが便利。寒い日のカジュアルなお出かけに重宝しますね。
5. ポリエステル(洗える着物)
現代の技術ってすごい!って思うのがこれ。洗濯機で丸洗いOK、シワにならず、すぐ乾く。まさに「イージーモード」な着物です。雨の日でも汚れを気にせず楽しめるので、初心者さんの強い味方です。
普段着としての着物のお手入れや洗濯の方法

「着物ってお手入れが大変なんでしょ?」っていうのが、一番のハードルですよね。特に「正絹(シルク)は自宅で洗えない」「クリーニング代が高い」というイメージ…。
これは、半分本当で、半分誤解です。
たしかに、振袖や訪問着といった「礼装」に使われる正絹(シルク)の着物は、自宅での洗濯はNGです。水に濡れると縮んだり、シミになったりするので、専門のクリーニング(悉皆屋さん)に出す必要があります。これが「着物は手入れが大変」というイメージの元ですね。
でも、私たちが普段着として楽しみたい木綿、ポリエステル、ウールといった素材の多くは、自宅の洗濯機で洗うことが可能なんです!
- ポリエステル:ネットに入れて、洗濯機のおしゃれ着コースでOK。一番簡単です。
- 木綿:デニムと同じ感覚で、ネットに入れて洗えます。最初は少し色落ちするかもしれないので、単独で洗うと安心かも。
- ウール:セーターと同じで、おしゃれ着洗い用の中性洗剤を使って、手洗いや洗濯機のドライコースで優しく洗うのがおすすめです。
「洗える着物」を選ぶこと。これが、着物生活を気楽に続けるための最大のコツかなと思います。
「着物の普段着はおかしい」を解消する着こなし術
着物の種類がわかったら、次はいよいよ「どう着るか」ですね!「おかしい」と思われない、現代の街並みに溶け込む「おしゃれ」な着こなしには、ちょっとしたコツがあるんです。私が気になっているコーデ術も紹介しますね。
普段着のマナーとTPO、どこまでOK?

「ルールが厳しそう…」というのも大きな不安ですよね。でも安心してください。厳しいルールが適用されるのは、さっき出てきた「礼装」の世界だけ。
小紋、紬、木綿、ウールといった「普段着」の世界のルールは、驚くほど自由なんです!
小物は基本的に全部自由!
礼装では「白」が基本とされる小物も、普段着なら個性の見せどころです。
- 長襦袢(ながじゅばん):着物の下に着るインナー。白じゃなくて、濃い色や大胆な柄物で「差し色」として楽しむのもアリ。
- 半襟(はんえり):顔周りの印象を決めるパーツ。色物、柄物、刺繍はもちろん、レースやフリル素材で遊ぶのも今っぽくて可愛いです。
- 帯締め・帯揚げ:これらも完全に自由!あえて派手な色でアクセントにしたり、後で紹介する「和洋折衷」でベルトを使ったりもできます。
普段着のTPO境界線
「自由」とは言っても、洋服と同じで最低限のTPOはあります。これさえ守ればOK!
【普段着物がふさわしい場所 (◎)】
- カフェ、ショッピング、街歩き
- 美術館、観劇、コンサート(※クラシックなど格調高い場所は小紋が無難かも)
- 友人とのカジュアルな食事会
【普段着物は絶対NGな場所 (×)】
- 結婚式・披露宴:これはゲストでもマナー違反です。「おかしい」と判断されます。必ず「準礼装(訪問着など)」で。
- 葬儀・告別式:おしゃれ着は絶対ダメ。必ず「喪服」を着用します。
要するに、「おしゃれをして出かける日常の場所」なら、普段着着物はどこでも大歓迎!ってことですね。
リサイクルで始める着物の始め方
「よし、始めてみよう!」と思っても、新品を一式揃えるのは大変…。そこでおすすめしたいのが、「リサイクル着物」の活用です!
中古のリサイクル着物は、数千円から手に入るものも多くて、圧倒的にコストパフォーマンスが良いんです。「高価なものを汚したらどうしよう…」というプレッシャーからも解放されますし、サステナブルでもありますよね。
「おうち着物」から始めてみませんか?
いきなり外に出るのが不安なら、まずは家の中で着物を楽しむ「おうち着物」からスタートするのがおすすめです。
<おうち着物のメリット>
- 人目を気にせず着付けの練習ができる!
- 低コスト(リサイクル品で十分)で始められる。
- 帯がコルセット代わりになって、在宅ワーク中も姿勢が伸びて気分が引き締まる。
リサイクル着物・選び方のコツ
おうち用や初心者さんの一着目を選ぶ基準は「洗える・軽い・楽しい」が一番!
- 素材(最重要):まずは「木綿」か「ポリエステル」から選ぶのが鉄則です。理由は、家で洗えるから!
- サイズ:着物はサイズがアバウトでも着れちゃいますが、「身丈(みたけ)」と「裄(ゆき)」はチェックしたいところ。でも、おうち着物なら身丈は短くても全然OKです。
- 状態:シミや匂いをチェック。でも、リサイクル品なので多少のものは「味」として楽しむくらいの気持ちも大事かも。
完璧を目指さず、まずは「家で着てみる」という経験を積むのが、不安をなくす一番の近道だと思います。
和洋折衷コーデ(ブーツやスニーカー)

着物を「コスプレ」や「時代錯誤」に見せない、最強のテクニックが「和洋折衷(わようせっちゅう)コーデ」です!
あえて洋服のアイテムを混ぜることで、「私は“ファッション”として着物を選んでます」という「抜け感」を出すんです。これが、着物を現代の風景に溶け込ませる鍵なんですね。
私がやってみたい、気になるコーデテクニックはこんな感じです。
1.【足元】ブーツ、パンプス、スニーカー
一番取り入れやすいのが足元!草履じゃなくて、あえてレースアップブーツを合わせる大正モダン風は定番で可愛いですよね。木綿やデニム着物に、真っ白なスニーカーを合わせるのも、一気に都会的でスポーティーな印象になります。
2.【インナー】タートルネック、レース
寒い時期、長襦袢の代わりにハイネックのセーターを中に着るスタイル。防寒とおしゃれが両立できて最高です。半襟の代わりに、Tシャツやレースのインナーをチラ見せするのも可愛い!
3.【小物】ベレー帽、マフラー、リュック
ベレー帽やカンカン帽は、着物との相性抜群です。普段使っているマフラーやストールもそのまま使えます。カジュアルな着物なら、帯があってもリュックを背負っちゃうのもアリなんです。
4.【アウター】羽織りものとして
これは逆の発想で、アンティークの羽織や着物を、洋服の上からロングカーディガンみたいに羽織るスタイル。ジーンズとTシャツに羽織るだけで、一気におしゃれ上級者感が出ますよね。これは初心者さんでもすぐ試せそうです。
インフルエンサーの着こなし(ふりふ等)
「本当にそんな格好でいいの?」って不安な方は、すでに楽しんでいる先輩たちの着こなしを見るのが一番!
ブランド「ふりふ」の自由な発想
アパレルブランドの「ふりふ」さんのコーディネートは、見てるだけでワクワクします。伝統的なルールに縛られず、着物をファッションとして楽しむヒントがたくさん!
- 猫や純喫茶といったポップな柄のオリジナル着物。
- インナーにレースやフリルを合わせる。
- 帯締めの代わりにファッションベルトを使う。
- 足元にスニーカー、アウターにパーカーを合わせる。
「ふりふ」さんが言う「あなたが見本、あなたがルール!」というメッセージ、すごく力強いですよね。まさにこれだ!って思います。
365日着物で生活する人たち
SNSを見ていると、本当に素敵な着こなしをしているインフルエンサーさんがたくさんいます。
例えば、365日着物で生活されている「りょうたす。」さん。彼にとって着物は「最強のコミュニケーションツール」で、初対面でも覚えてもらいやすいし、帯を締めると「心が引き締まる」そうです。なんだか分かります。
他にも、レトロな着こなしの「るうこ」さんや、和モダンスタイルの「川原マリア」さんなど、多くの方が自由にファッションとして楽しんでいます。着物を普段着にするのは、もう決して珍しいことじゃないんですね。
「着物の普段着はおかしい」は誤解だった
ここまで見てきて、「着物の普段着はおかしい」という不安は、ほとんどが「礼装」と「普段着」を混同していた“誤解”だった、ということが分かったんじゃないかなと思います。
「おかしい」かどうかは、他人が決めることじゃありません。TPOさえわきまえれば、あとは私たちがそれを「自分の服」として自信を持って着こなせるかどうか、なんだと思います。
「おかしいかも」という不安を解消する鍵は、知識と、そして「経験」です。その最初の一歩は、おしゃれして街に出かけることじゃなくていいんです。
<あなたの「最初の一歩」>
まず、「洗える、安価なリサイクル着物」を一枚手に入れてみてください。
そして、誰にも見られない休日の午前中、「おうち着物」としてそれに袖を通してみてください。帯は簡単な半幅帯で十分。
着付けがうまくできなくても、誰も見ていません。家事をしてみて、動きにくかったら裾を短くしてみる。その「試行錯誤」こそが、着物を「衣装」から「あなたの服」に変えるプロセスです。
「着物の普段着はおかしい」は、もう終わり。一緒に「ファッションとしての着物」を自由に楽しんでみませんか?
