日本の食べ物

ラーメンは何歳から?子供に与える時期と塩分のリスクを解説

味噌ラーメン
japanblog

日本人の国民食とも言えるラーメン。街を歩けば美味しそうな香りが漂い、テレビでも毎日のように特集が組まれていますよね。私たち大人にとっては、手軽で美味しく、心もお腹も満たしてくれる最高のメニューですが、小さな子供を持つ親御さんにとっては、これほど悩ましい食べ物もないのではないでしょうか。「ラーメンは何歳から食べさせて良いの?」「周りの子はもう食べているみたいだけど、うちは遅いのかな?」「塩分や添加物が体に悪いって聞くけど、本当はどうなんだろう?」

実は私自身も、皆さんと同じようにこの問題に頭を抱えた一人です。私の子供が1歳半を過ぎた頃、外食先で隣のテーブルに座っていた同じくらいの月齢の子が、大人用のラーメンをちゅるちゅると美味しそうに食べているのを目撃しました。その時の衝撃と焦りは今でも忘れられません。「えっ、もう食べさせていいの? 私が神経質すぎるだけ?」と、自分の育児方針が間違っているのではないかと不安になり、帰宅してからネットで「ラーメン 何歳から」と検索魔になった経験があります。

しかし、詳しく調べていくうちに、安易な早期デビューには、子供の未熟な消化器官や将来の健康にとって見過ごせないリスクが潜んでいることが分かってきました。焦って周りに合わせる必要は全くなかったのです。この記事では、当時の私が喉から手が出るほど欲しかった「医学的・生理学的な根拠に基づいた適正時期」と「どうしても食べたい時の安全な工夫」について、徹底的に掘り下げて解説します。曖昧な「なんとなく」ではなく、子供の体の仕組みを正しく理解することで、自信を持ってラーメンとの付き合い方を決められるようになりますよ。

記事のポイント
  • 子供の消化機能(酵素や粘膜)の発達段階に基づいた、ラーメンの医学的な適正年齢
  • 市販のインスタント麺や外食チェーンの「お子様セット」に含まれる塩分の驚くべき実態
  • 喉に詰まらせる事故を防ぐための、麺や具材の具体的なカッティング技術と加工方法
  • 「禁止」するのではなく「管理」して楽しむための、家庭でできる究極の減塩テクニック

ラーメンは何歳から食べられる?体の発達とリスク

ラーメン こども1

大人にとっては「消化に良い食べ物」というイメージがある麺類ですが、ラーメンに関してはその常識は通用しません。うどんやそうめんとは全く異なる成分や構造を持っているからです。ここでは、発達途中の子供の体にとって、ラーメンが具体的にどのような負担となるのか、生理学的な視点から一つひとつ紐解いていきましょう。これを知れば、「なぜ3歳までは待ったほうがいいのか」が深く理解できるはずです。

離乳食完了後の1歳でも危険な理由

離乳食が完了期を迎える1歳から1歳半頃は、子供の食への興味が爆発する時期です。「パパやママと同じものを食べたい!」と手を伸ばしてくることも増えますよね。その姿はとても愛らしいものですが、ことラーメンに関しては、この時期の摂取は生理学的に極めてリスクが高いと言わざるを得ません。単に「味が濃いからダメ」というレベルではなく、消化器系への物理的・化学的な負担が大きすぎるのです。

まず第一の壁となるのが、ラーメン特有のコシと色を生み出す添加物「かんすい(鹹水)」です。かんすいは強アルカリ性の塩類であり、これが小麦粉のグルテンに作用して独特の風味と弾力を生み出します。しかし、1歳児の胃腸の粘膜バリアはまだ非常に薄くデリケートです。大人の胃なら何ともないような微弱なアルカリ刺激であっても、幼児にとっては化学的な刺激(ケミカル・ストレス)となり、胃壁を荒らしたり、消化吸収能力を低下させたりする原因になります。実際、炭酸飲料が幼児の胃を刺激して吐き気を催すのと同様に、かんすいの刺激によって食後に不機嫌になったり、軟便になったりするケースは少なくありません。

【ここが危険!うどんとの決定的な違い】

うどんやそうめんは中性食品であり、消化も比較的早いです。しかし、中華麺は「かんすい」によるアルカリ性食品であり、さらに油でコーティングされていることも多いため、胃の中に滞留する時間が長く、未熟な胃腸には過酷な労働を強いることになります。

次に問題となるのが、消化酵素の分泌能力です。1歳児の膵臓や小腸から分泌される消化酵素は、炭水化物(糖質)を分解する能力こそ高まっていますが、複雑なタンパク質や脂質を分解する力はまだ発展途上です。ラーメンの麺に含まれる「グルテン」は、うどんのそれよりも強固な網目構造を持っており、消化酵素が内部まで浸透しにくい性質があります。これを噛む力が未熟な状態で飲み込んでしまうと、未消化のまま腸に送られ、腸内環境を悪化させたり、腹痛の原因となったりします。

さらに、「誤嚥(ごえん)」のリスクも見逃せません。ラーメンの麺は表面がつるつるとしており、かつスープの油分で滑りやすくなっています。1歳児の嚥下機能(飲み込む力)は、液体と固形物を上手に選り分けることが苦手です。「つるっ」と勢いよく口に入ってきた麺が、食道ではなく気管に入り込んでしまう危険性は、パンやご飯よりも遥かに高いのです。

3歳までは消化機能が未熟なため注意

「じゃあ、2歳になれば大丈夫?」と思われるかもしれませんが、まだ安心はできません。生理学的な観点から見ると、子供の消化機能、特にラーメンに含まれるような「高脂肪」を処理する能力が大人に近づくのは、一般的に3歳頃と言われています。

ラーメンのスープ、特に豚骨や味噌、濃厚醤油ラーメンには、大量の動物性油脂(ラードや背脂)が含まれています。大人が食べても、食後に「ちょっと胃が重いな」と感じることがありますよね? あれは、脂質の消化に時間がかかり、胃腸に負担がかかっている証拠です。これを分解するために必要なのが、膵臓から分泌される「リパーゼ」という脂肪分解酵素です。

研究によると、このリパーゼの活性が十分に高まり、成人と同等の脂肪負荷に耐えられるようになるのが3歳〜4歳頃とされています。それ以前の、例えば2歳児に濃厚なラーメンスープを与えると、分解しきれなかった脂質がそのまま腸を通過し、「脂肪便」と呼ばれる白っぽく酸っぱい臭いのする下痢を引き起こすことがあります。これは単なる下痢ではなく、食べたものの栄養が吸収されずに排出されている状態(吸収不良症候群の一種)であり、成長期の子供にとっては栄養ロスにもつながります。

【アレルギーの観点からも3歳が目安】

3歳という年齢は、食物アレルギーにとっても大きな節目です。乳幼児期に多い「小麦」や「卵」のアレルギーは、消化管のバリア機能が完成する3歳頃までに自然に治る(耐性を獲得する)ケースが多く見られます。逆に言えば、3歳未満はまだアレルゲンが腸管から侵入しやすい時期。アレルギー体質のお子さんや、まだアレルギー検査をしていないお子さんの場合、複合的なアレルゲンを含み、かつ刺激の強いラーメンは、アレルギー症状を誘発・悪化させるトリガーになる可能性があります。

また、2歳〜3歳はいわゆる「イヤイヤ期」と重なり、偏食が激しくなる時期でもあります。この時期に、ラーメンのような「脂質×糖質×塩分」という脳の報酬系をダイレクトに刺激する強烈な味を覚えてしまうと、野菜の煮物や焼き魚といった、繊細な味付けの家庭料理を「味がしない」「美味しくない」と拒絶するようになります。これは単なるわがままではなく、脳がより強い刺激を求める生理的な反応です。味覚の幅を広げ、将来の健康的な食習慣を守るためにも、3歳まではできるだけ「素材の味」をベースにした食事を心がけるべきなのです。

腎臓に負担をかける塩分の過剰摂取

私が今回のリサーチで最も背筋が凍る思いをしたのが、この「塩分(ナトリウム)」の問題です。正直なところ、ここだけは全ての親御さんに知っておいていただきたい最重要ポイントです。なぜなら、塩分の過剰摂取は、子供の未熟な腎臓を物理的に傷つける「毒」になり得るからです。

人間の腎臓は、体内の余分な塩分を尿として排出するフィルターの役割を果たしています。しかし、子供の腎臓の機能(濃縮力や糸球体濾過量)は、身体の大きさに比例してまだ低く、一度に大量の塩分が入ってくると処理が追いつきません。処理しきれなかった塩分は体内に水分を溜め込ませ、小さな心臓や血管にパンパンの圧力をかけ続けます。これが小児期からの高血圧の引き金となり、将来的な腎臓病や心疾患のリスクを高めることが、近年の研究で明らかになっています。

では、具体的にどれくらいの塩分量が危険なのでしょうか。厚生労働省が定めている「日本人の食事摂取基準(2020年版)」のデータを元に、比較表を作成しました。

【衝撃の事実】子供の塩分目標量とラーメンの塩分量比較
対象年齢 1日の塩分摂取目標量
(これ以下に抑える)
一般的な袋麺・カップ麺
(1食・汁まで完食時)
危険度判定
1〜2歳 3.0g 未満 約 5.0g 〜 6.0g 危険(2日分相当)
3〜5歳 3.5g 未満 危険(1.5日分相当)
6〜7歳 4.5g 未満 要注意(1日分以上)

(出典:厚生労働省『日本人の食事摂取基準』

この表を見て、どう感じられましたか? 私は初めてこれを知った時、言葉を失いました。もし1〜2歳の子供が、一般的なインスタントラーメンをスープまで全部飲んでしまった場合、たった1回の食事で丸2日分の塩分許容量を摂取してしまうことになるのです。3〜5歳であっても、1.5日分を超過します。

「スープを飲まなければ大丈夫でしょ?」と思うかもしれませんが、麺自体にも塩分が含まれている上に、麺はスープを吸い込んでいます。麺と具材を食べるだけでも、スープに含まれる塩分の約3分の1〜半分程度(約2.0g〜3.0g)を摂取してしまうと言われています。つまり、麺だけ食べたとしても、1食で1日の目標量のほとんど、あるいは全てを使い切ってしまうのです。これでは、朝ごはんや夜ごはんで味噌汁一杯すら飲めなくなってしまいます。ラーメンがいかに「塩分の塊」であるか、この数字が如実に物語っています。

インスタントやカップ麺の与え方

カップラーメン

忙しい日のランチや、非常時の備蓄として便利なインスタント麺やカップ麺。子供が欲しがることもありますが、これらは「お店のラーメン」以上に注意が必要です。その最大の理由は、製造工程における「麺への味付け」と「油脂処理」にあります。

多くの即席麺(フライ麺)は、製造過程で麺を蒸した後に味付けを行い、さらに高温の油で揚げて乾燥させています。このプロセスにより、麺そのものにかなりの量の塩分と酸化した油脂が含まれることになります。茹でる前の乾麺をそのままかじると塩辛いのはそのためです。

さらに、カップ麺の構造的な問題として、「Soak(浸漬)」という食べ方が挙げられます。うどんやそばのように「つゆにつけて(Dip)」食べるのではなく、調理の段階から高濃度のスープの中に麺がどっぷりと浸かり続け、食べる時もスープと一緒に口に運びます。時間が経てば経つほど、麺はスポンジのように塩分たっぷりのスープを吸い上げます。子供は食べるのが遅いため、後半になればなるほど、塩分濃度の高まった麺を食べることになってしまうのです。

もし、どうしてもインスタント麺を与える状況になった場合は、パッケージ裏面の作り方を無視してでも、以下の手順で「脱塩処理」を行うことを強くおすすめします。

【必須テクニック:茹でこぼし法】

  1. 別茹でする:スープを作るお湯と、麺を茹でるお湯を完全に分けます。
  2. 長めに茹でる:規定時間より少し長く茹でることで、麺の中に含まれる塩分やかんすい、酸化した油をお湯の中に溶け出させます。
  3. お湯を捨てる:茹でたお湯は全て捨てます。ここに一番有害な成分が溶け出しています。
  4. 洗う(余裕があれば):ザルにあげてお湯でサッと洗えば完璧です。
  5. 薄味スープへ:最後に、規定の倍以上に薄めたスープ(または自作の薄味スープ)に入れます。

また、「ミニカップ麺」や「マグカップヌードル」は、見た目が小さくて子供用に適しているように見えますが、実は麺の単位重量あたりの塩分濃度は通常サイズと変わらないか、むしろ高い場合すらあります。「小さいから全部食べても大丈夫」という油断は禁物です。

食物アレルギーや味覚形成への影響

ラーメンのリスクは、お腹を壊すとか塩分が多いといった直面する問題だけではありません。もっと長い目で見た時の「子供の未来」に関わる影響についても触れておかなければなりません。それが「食物アレルギー」と「味覚形成(フレーバー・インプリンティング)」の問題です。

まずアレルギーについてですが、ラーメンはまさに「アレルゲンのデパート」です。
・麺:小麦
・スープや具:卵、大豆、豚肉、鶏肉、ごま、ゼラチン、サバなどの魚介類
これらが複雑に混ざり合っています。特に怖いのが、外食やインスタント麺では「隠れアレルゲン」が見えにくいことです。例えば、スープのコク出しに「乳成分」や「ピーナッツペースト」が使われていたり、魚介系ラーメンでなくても隠し味に「エビ・カニ」のエキスが入っていたりすることがあります。

初めてラーメンを食べる時は、必ず「平日の午前中(病院が開いている時間)」に、「自宅」で、「数口だけ」試すのが鉄則です。いきなり休日のランチに外食でラーメンデビューをして、もしアナフィラキシーショックなどの重篤なアレルギー反応が出たら、対応が遅れて取り返しのつかないことになりかねません。

そして、さらに深刻なのが「味覚形成」への影響です。人間の脳には「報酬系」と呼ばれる神経回路があり、強い快感をもたらす刺激を記憶し、それを繰り返し求めるようにプログラムされています。ラーメンに含まれる「油脂」「砂糖(糖質)」「うま味調味料(グルタミン酸ナトリウムなど)」「塩分」の組み合わせは、この報酬系を強烈に刺激する、いわば「マイルドドラッグ」のような性質を持っています。

3歳までの味覚が形成される重要な時期に、この強烈な刺激(ハイパー・パラタビリティ:病みつきになる味)を頻繁に経験してしまうと、脳が「この味が標準だ」と学習してしまいます(フレーバー・インプリンティング)。するとどうなるか。素材の味を活かした薄味の和食や、苦味や酸味のある野菜を「味が薄くてまずい」と感じるようになり、将来にわたって濃い味のジャンクフードや加工食品ばかりを好む「偏食」の原因となるのです。

「すこしお(すべての世代で減塩を)」というスローガンがありますが、これは単に血圧を下げるためだけではありません。「薄味でも美味しい」と感じられる繊細な舌(味覚センサー)を育ててあげることは、親が子供に贈れる一生モノの財産なのです。その大切なセンサーを、早期のラーメン摂取で麻痺させないよう、細心の注意が必要です。

ラーメンは何歳から解禁?安全に食べるための対策

醤油ラーメン

ここまで、ラーメンがいかに子供の体にとってハードルの高い食べ物であるかを、少し厳しい言葉でお伝えしてきました。「こんなに危険なら、小学生になるまで食べさせない方がいいの?」と不安にさせてしまったかもしれませんね。でも、安心してください。リスクを知ることは、それを回避するための第一歩です。

結論から言えば、絶対に食べてはいけない「禁止食品」にする必要はありません。適切な年齢と、親御さんによる正しい「管理(マネジメント)」があれば、ラーメンも家族みんなで楽しむことができます。ここからは、具体的な解禁の目安となる年齢と、リスクを最小限に抑えて安全に食べるための実践的なテクニックをご紹介します。

アンパンマンラーメンなどの幼児用

スーパーの麺類売り場でよく見かける、可愛いキャラクターが描かれた「幼児向けカップラーメン(アンパンマンらーめんやポケモンヌードルなど)」。子供にせがまれて、手に取ったことがある方も多いのではないでしょうか。これらは一般的なカップ麺とは明確に区別して考えるべき存在ですが、それでも「完全な安全圏」とは言い切れません。

【幼児用ラーメンのメリット】
確かに、これら幼児用製品はメーカーの企業努力により、様々な配慮がなされています。
・麺が柔らかく、短めで食べやすい
・化学調味料(うま味調味料)を使用していないものが多い
・ビタミンB1、B2、カルシウムなどの栄養素が強化されている
・合成着色料や保存料が不使用である
・塩分量が大人用に比べて控えめ(約1.5g〜2.0g程度)

【それでも残るリスク】
しかし、ここで数字のトリックに騙されてはいけません。例えば、ある幼児用ラーメンの塩分相当量が「1.9g」だったとします。これは大人用(5〜6g)に比べれば約3分の1ですが、1〜2歳児の1日の塩分目標量(3.0g未満)に対しては、なんと63%を占めています。たった一回の、しかも軽食やおやつ感覚で食べる量としては、あまりにも塩分比重が高すぎるのです。

もしこれをお昼に食べたら、朝と夜の食事やおやつを合わせて、残りの塩分1.1g以内でやりくりしなければなりません。食パン1枚でも約0.7g〜0.8gの塩分が含まれていますから、これは至難の業です。したがって、幼児用ラーメンであっても「日常的な食事」としてストックするのはおすすめできません。あくまで「ママが体調不良で料理ができない時」「災害時の非常食」「旅行中の特別なお楽しみ」といった、「ハレの日」限定のアイテムとして活用するのが賢い付き合い方です。

そして提供する際は、必ず「粉末スープの使用量を半分以下にする」か、「お湯を規定より多く入れて薄める」ことを徹底してください。子供は薄味でもキャラクターのなるとが入っているだけで大喜びしますから、味の濃さは二の次で大丈夫です。

外食でお子様セットを頼む時の注意

ラーメン こども2

週末、家族でラーメン屋や中華料理店に行くこともあるでしょう。メニューには必ずと言っていいほど「お子様ラーメンセット」があり、おもちゃやジュースがついていて子供心をくすぐります。しかし、ここにも大きな落とし穴があります。「子供用として売られているから、栄養バランスも子供向けに考えられているはず」というのは、残念ながら親の思い込みである場合が多いのです。

大手チェーン店の栄養成分情報を調べてみると、驚くべき事実が見えてきます。ある人気ラーメン店の「お子様ラーメンセット」の塩分相当量は、なんと4.0g以上。これは、3〜5歳児の1日の目標量(3.5g未満)を、たった一食でオーバーしてしまう数値です。さらに、セットについてくるチャーハンや餃子、唐揚げなどを合わせれば、塩分総量は5g、6gと跳ね上がります。これでは大人並みの塩分摂取量です。

外食でラーメンを楽しむためには、以下の「防衛策」を講じる必要があります。

【外食時の鉄則マニュアル】

  • 事前リサーチ:お店に行く前に、必ずスマホで公式サイトの「栄養成分一覧表」と「アレルギー情報」をチェックします。塩分が異常に高いメニューは避けます。
  • 味薄めオーダー:注文時に店員さんに「子供が食べるので、味を薄めにしてもらえますか?」と聞いてみましょう。多くの店舗で、スープのタレを減らしたり、割りスープ(お湯)を提供してくれたりします。
  • スープはNGルール:食べる前に「スープはゴックンしないお約束ね」と子供としっかり約束します。レンゲを渡さないのも一つの手です。
  • セットの罠を回避:チャーハンセットにすると塩分が倍増します。サイドメニューは塩分のない「白ごはん」を選び、ラーメンライスにする方が(炭水化物は増えますが)塩分総量は抑えられます。

外食は家族の楽しいコミュニケーションの場です。神経質になりすぎてピリピリするのも良くありませんが、メニュー選びと事前の約束で、見えないリスクをコントロールしてあげましょう。

誤嚥を防ぐための麺や具材の工夫

3歳〜5歳頃になっても、子供の口の機能はまだ発展途上です。特に麺類を「すする(吸引して食べる)」という高度な動作は難しく、多くの子供は麺を噛み切らずにそのまま飲み込もうとします。これが窒息事故の原因となります。

ラーメンの麺は長く、さらに油でコーティングされているため、フォークや箸から滑り落ちやすく、思わぬスピードで喉の奥に飛び込んでくることがあります。これを防ぐためには、食べる前の物理的な加工(Food Processing)が不可欠です。

【必須】ラーメン具材の安全加工リスト
食材 危険性 加工方法
長すぎてすすりきれず、喉に詰まる。 2〜3cmにカット。ヌードルカッターやキッチンバサミを持参し、すする必要がない長さに切る。
うずらの卵
ミニトマト
最重要警戒食材。表面が滑らかで球状のため、気道を完全に塞ぎ窒息死を招く。 必ず1/4以下に切る。そのまま与えるのは絶対にNG。丸ごとの形をなくす。
チャーシュー
煮豚
繊維が強く、噛み切りにくい。飲み込めずに吐き出す原因に。 細かく刻む。サイコロ状か、ほぐし身にする。
海苔 上あごや喉に張り付きやすい。 小さくちぎる。またはスープによく浸して溶かす。
コーン 気管に入りやすいサイズ。 よく噛むように促すか、スプーンで少量ずつ口に運ばせる。

また、食事中の環境作りも大切です。テレビを見ながら、動画を見ながらの「ながら食べ」は、注意散漫になり誤嚥のリスクを劇的に高めます。ラーメンを食べる時は、姿勢を正して、食べることに集中させる。そして何より、子供が食べている間は親が絶対に目を離さないことが、事故を防ぐ最後の砦です。

スープを薄めるなどの減塩テクニック

岡山ラーメン

家でラーメンを作る時、あるいは外食から取り分ける時、ほんの少しの手間で塩分を大幅にカットできる「裏技」があります。「味が薄くなって美味しくないんじゃない?」と思われるかもしれませんが、子供の敏感な味覚にとっては、大人が思う「薄味」こそが「適正な味」なのです。私が実践して効果の高かったテクニックをご紹介します。

1. 禁断の「麺洗い(湯通し)」

これは外食時におすすめのテクニックです。取り分け用の器に、ポットのお湯(なければお水)を少し入れておきます。そこに大人用のラーメンから麺を取り出し、そのお湯の中でシャブシャブと洗います。そして麺だけを別の器に移して子供に与えます。
「えっ、ラーメンを洗うの?」と驚かれるかもしれませんが、これにより麺の表面に付着した濃厚なスープと脂っこい油を物理的に洗い流すことができます。麺自体にスープの味は染み込んでいるので、これでも十分味はします。見た目は悪いかもしれませんが、背脂たっぷりのスープを飲ませるより百倍マシです。

2. 自家製「なんちゃってラーメンスープ」

家庭でインスタント麺や生麺を使う場合、付属のスープは使いません(大人が美味しくいただきましょう)。代わりに、子供用には以下の特製スープを用意します。

【レシピ例:旨味たっぷり減塩スープ】
・ベース:無塩のトマトジュース または カツオ・昆布の出汁
・味付け:醤油または味噌を、色づけ程度にほんの少し(小さじ1/2以下)
・風味付け:ごま油を1滴

ポイントは「トマト」や「出汁」を使うこと。これらに含まれるグルタミン酸などの「うま味成分」は、塩分が少なくても脳に「美味しい」と感じさせる効果があります。さらにトマトや野菜に含まれるカリウムは、体内の余分なナトリウムを排出する手助けをしてくれます。野菜たっぷりのタンメン風にして、スープまで飲んでも罪悪感のないラーメンを作ってあげましょう。

ラーメンは何歳から?頻度とまとめ

長くなりましたが、最後に改めて「ラーメンは何歳から?」という問いへの答えをまとめたいと思います。

子供の体の仕組み、消化酵素の発達、アレルギー、そして塩分による負担。これらを総合的に判断すると、一般的なラーメンを、特別な加工(麺を洗うなど)をせずに食べさせられるようになるのは、早くても3歳以降、理想を言えば4歳以降というのが、医学的・栄養学的な見地からの結論です。

もちろん、「3歳の誕生日が来たから、今日から毎日ラーメンOK!」というわけではありません。
・頻度は月に1〜2回の「お楽しみ」にする
・スープは絶対に飲み干さない(残す勇気を持つ)
・野菜などのカリウムを一緒に摂る
・食べた次の日は薄味のメニューで調整する

こういった「リスクマネジメント」は、小学生になっても、あるいは大人になっても続けるべき健康習慣です。

ラーメンは、日本の食文化が生んだ素晴らしいエンターテイメントです。だからこそ、焦って早くから与える必要はありません。子供の体ができるのをゆっくり待って、家族みんなで「美味しいね」と笑顔で食べられるその日まで、大人がしっかりと手綱を握ってコントロールしてあげてください。その我慢と工夫が、間違いなくお子さんの将来の健康な体を作っていくはずです。

ABOUT ME
ハーモニーニッポン
ハーモニーニッポン
ブロガー
日々の生活の中に「和の心」を取り入れるライフスタイルを発信中。 ハーモニーニッポンでは、日本の四季・食・文化の魅力を世界に伝える記事を執筆しています。 好きな食べ物は焼き鳥。
記事URLをコピーしました