浴衣の洗濯機洗いガイド|失敗しない洗い方とコツ
こんにちは!ハーモニーニッポンです。
夏祭りや花火大会で浴衣を着た後、どうしていますか?「楽しかったけど、汗かいちゃったな…」と、お手入れが気になりますよね。クリーニングに出すのが確実ですが、毎回となると費用も時間もかかります。
自宅の洗濯機で浴衣を洗えたら…と思うものの、いざ挑戦するとなると「浴衣を洗濯機で洗うなんて、本当に大丈夫?」と不安になるかもしれません。大切な浴衣が縮むんじゃないか、色落ちして柄がにじんだらどうしよう、と心配は尽きませんよね。特に綿や麻の浴衣だと、ポリエステル製のものより気を使います。
正しい洗い方、洗濯ネットへの入れ方、中性洗剤はどれを使えばいいのか、そして一番怖い脱水時間の設定…。考え出すとキリがありません。乾かした後のアイロンがけも大変そうですし、そもそも帯や腰紐はどうするの?着る頻度に対して毎回洗うべきなの?と、疑問だらけかもしれません。
この記事では、そんな「浴衣の洗濯機洗い」に関する不安や疑問を解消するために、洗濯機に入れる前の必須チェックから、失敗しない洗い方の手順、キレイに仕上げるコツまで、詳しくまとめてみました。自宅でのお手入れに挑戦してみたい方の参考になれば嬉しいです!
- 洗濯機に入れる前の「洗える浴衣」の見極め方
- 失敗しないための「洗い・脱水」の具体的な手順
- シワを防いでキレイに仕上げる「干し方・アイロン」のコツ
- 帯や小物の手入れと、おすすめの洗濯頻度
浴衣の洗濯機洗い、その前にすべき必須確認
「よし、洗うぞ!」と洗濯機に浴衣をポン!と入れる前に、まず確認すべき超重要なポイントがいくつかあります。ここを怠ると、「ああ、お気に入りの浴衣がシワシワに縮んでしまった…」なんてことになりかねません。
まずは、その浴衣が本当に洗濯機で洗えるのか、運命の分岐点とも言える7つの項目を一緒にチェックしていきましょう!
洗濯表示で洗えるか確認

まずはこれ!洋服を洗う時と同じ、基本中の基本ですね。浴衣の内側についている「洗濯表示(ケアラベル)」を必ず確認してください。
見るべきマークは「洗濯桶」のマークです。これに「30」や「40」といった数字が書いてあれば、その温度を上限に家庭で水洗い(洗濯機OK)が可能です。手洗いのマークの場合も、洗濯機の「手洗いコース」などで洗えることが多いですね。
【最重要】「水洗い不可」マークは絶対厳守!
もし洗濯桶に大きく×(バツ)がついた「水洗い不可」の表示があったら、その時点で自宅での洗濯は諦めてください。
これは「洗濯機がダメ」という意味だけでなく、「手洗いも含めた一切の水洗いが不可能」というメーカーからの指示です。これを無視して洗ってしまうと、取り返しのつかないことになる可能性が極めて高いので、潔くクリーニング店にお願いしましょう。
素材別!洗えない浴衣リスト
洗濯表示で「水洗い可」となっていても、素材によっては「待った!」をかけたいものがあります。特に高価な浴衣や、デザインが凝ったものは要注意です。
比較的、洗濯機で洗いやすいのは、ポリエステル(化繊)製のもの、または安価な綿素材でミシン縫いされているものです。これらは丈夫に作られていることが多いかなと思います。
一方で、以下の素材や加工が施された浴衣は、洗濯機洗いは絶対に避けるべきです。
自宅で洗えない浴衣(洗濯機・手洗い問わず)
- 絹(シルク)混、絹紅梅(きぬこうばい)など
絹は水に濡れると著しく縮んで硬くなる性質があります。光沢や風合いが永久に失われてしまうので、絶対に水洗いしないでください。 - 絞り(しぼり)染めの浴衣
絞りの価値は、なんといってもあの立体的な凹凸の風合いですよね。ウォッシャブル加工がされていない限り、水洗い(特に洗濯機の水流)でその凹凸が伸びきってしまい、平らな生地に戻ってしまいます。デザインそのものが消えてしまうのと同じです。 - 箔(はく)加工、刺繍、ビーズなどの装飾
金箔や銀箔は、洗濯の摩擦で剥がれ落ちてしまいます。刺繍やビーズも、縮んだり取れたり、生地全体が歪む(よれる)原因になるのでNGです。
これらの浴衣は、専門のクリーニング店(できれば「着物専門」)に相談するのが一番安心ですね。料金は一般的なクリーニングより高くなるかもしれませんが、それは「保険」だと考えるのが賢明かなと思います。
色落ちしないかチェックする方法

濃い色の浴衣や、鮮やかな柄物の浴衣で特に心配なのが「色落ち」です。柄の中の白い部分に、他の色(特に紺や赤)が移ってしまう「色移り(泣き)」が起きると、本当にショックですよね…。
これを防ぐために、洗濯前には必ず「色落ちチェック」を行いましょう。
色落ちセルフチェックの手順
- 使う予定のおしゃれ着用中性洗剤の「原液」を、白い布(綿のハンカチなど)に少量つけます。
- 浴衣の目立たない部分(帯で隠れるところや、縫い代の裏側など)を、その布で軽くトントンと叩いたり、こすったりします。
- 白い布に浴衣の色が移ったら…残念ながら「色落ち確定」です。
このチェックで色が移ってしまった場合、洗濯機で洗うと染料が水に溶け出し、柄全体がにじんでしまう可能性が非常に高いです。この場合も、自宅での洗濯は中止して、クリーニング店に相談することをおすすめします。
洗濯ネットと正しい畳み方
浴衣をそのまま洗濯槽に入れるのは絶対にNGですよ!袖が長いので、洗濯機の中でねじれたり、他の衣類(もしあれば)と絡Mたりして、型崩れや生地が傷む原因になります。
洗濯機で洗う際は、必ず「洗濯ネット」に入れましょう。
畳み方(袖畳み)
ネットに入れる際は、浴衣をきれいに畳む必要があります。「袖畳み(そでだたみ)」という畳み方が基本です。
- 浴衣を広げ、肩や脇の線をきれいに揃えて重ねます。
- 袖を身頃(胴体部分)の上に折り返します。
- ネットの大きさに合わせて、屏風(びょうぶ)のようにパタパタと畳んでいきます。
ポイントは、一番汚れている「裾(すそ)」が、畳んだ時に一番外側にくるように意識することです。こうすると、洗剤液が汚れのひどい部分に当たりやすくなるみたいです。
ネットの選び方
洗濯ネットは、畳んだ浴衣が「ジャストサイズ」で入るものを選んでください。ネットが大きすぎると、結局中で浴衣が動いてしまい、畳んだ意味がなくなって型崩れの原因になります。浴衣専用の大きめな平たいネットも市販されていますよ。
浴衣洗いは中性洗剤が必須

「洗剤は、いつものやつでいいや!」…これは絶対にダメです!
普段の洗濯で使うことが多い粉末洗剤や一部の液体洗剤は、「アルカリ性」のものが多いです。このアルカリ性洗剤は、洗浄力が高い反面、デメリットもあります。
アルカリ性洗剤がNGな理由
- 色落ちを促進する: 浴衣の染料はアルカリに弱く、色が激しく落ちたり、にじんだりする原因になります。
- 縮みを促進する: 綿や麻などの天然繊維は、アルカリ性の水に触れると縮みやすくなります。
- 溶け残りの危険: 粉末洗剤は、水流が弱い「ドライコース」などでは溶け残りやすく、それがシミや色むらの原因になることもあります。
浴衣を洗う際は、必ず「おしゃれ着用中性洗剤」(アクロンやエマールなどと書かれているもの)を使用してください。これは、浴衣の繊維と染料を守るための「絶対条件」だと覚えておきましょう。
もちろん、漂白剤(酸素系・塩素系問わず)も厳禁です。柄がまだらに色落ちしてしまう危険性がありますよ。
浴衣を洗濯機で正しく洗う全手順と仕上げ
さて、ここまでの厳しいチェックをすべてクリアした浴衣だけが、いよいよ洗濯機洗いに進めます!
「洗える」と判断できても、洗い方を間違えれば台無しです。汚れをしっかり落としつつ、浴衣へのダメージを最小限に抑える「洗い方」から「アイロンがけ」まで、キレイに仕上げる手順を詳しく見ていきましょう。
失敗しない洗い方と脱水時間

ここが一番ドキドキするところかもしれませんね。でも、洗濯機の設定さえ間違えなければ大丈夫です!
コース設定
洗濯機のコースは、「ドライコース」「手洗いコース」「おしゃれ着コース」など、メーカーが設定している最も水流が弱い(衣類に優しい)コースを必ず選択してください。
これらのコースは、衣類をゴシゴシ「揉む」のではなく、洗濯槽をゆっくり「揺らす」ことで洗剤液を通過させる洗い方なので、浴衣への物理的なダメージ(摩擦やねじれ)を最小限に抑えてくれます。
柔軟剤は、洗濯ジワを防ぐ効果が期待できるので、使っても大丈夫です。
【最重要】脱水時間
浴衣の洗濯機洗いにおいて、仕上がりを天国と地獄に分けるのが、この「脱水」です。
脱水時間は、必ず手動で「30秒~長くても1分以内」に設定してください!
1分を超えると、強力な遠心力で浴衣が洗濯槽に張り付き、深く、細かい、取り返しのつかない「脱水ジワ」が刻み込まれてしまいます…。この「脱水ジワ」は、後のアイロンがけでも完全に伸ばすのが本当に困難なんです。
脱水の目的は「水をカラカラに切る」ことではなく、「水が滴り落ちない程度にする」ことだと覚えておいてください。これは絶対に守ってほしいポイントです!
シワを防ぐ干し方と陰干しのコツ

脱水が終わったら、1秒でも早く洗濯機から取り出してください!濡れたまま放置すると、シワが定着するだけでなく、雑菌が繁殖してニオイの原因になったり、染料が移ったりする可能性もあります。
ネットから浴衣を取り出したら、両手で大きく広げます。そして、生地全体を「パンパンッ!」と音が出るくらい強めにたたき、脱水でついた大きなシワを伸ばしましょう。これは、繊維が水分を含んで柔らかいうちに行う「最初のアイロンがけ」とも言える、非常に重要な工程です。
干し方の道具と場所
- ベスト(推奨): 和装ハンガー(着物ハンガー)
袖まで一直線に広げて干せるので、型崩れとシワを最も効果的に防げます。 - ベター(次善): 物干し竿
両袖を竿に通すようにして干します。この時、肩や脇の部分を洗濯ばさみで留めて固定すると良いですね。 - 場所: 必ず「陰干し」
直射日光(紫外線)は、色あせ(日焼け)の大きな原因になります。必ず風通しの良い日陰で干してください。
【厳禁】乾燥機(タンブラー乾燥)の使用
これは絶対にダメです!乾燥機の高温と回転は、綿や麻の繊維を一気に縮ませます。これは「失敗」ではなく、浴衣の「破壊」です…。縮んで型崩れした浴衣は、二度と元のサイズには戻りません。
浴衣のアイロンがけと当て布

さて、いよいよ最後の仕上げです!洗い、干しを経た浴衣に、新品のような「パリッ」とした美しさを取り戻しましょう。
温度設定と「当て布」
まずは、浴衣の洗濯表示をもう一度確認し、アイロンの適切な温度(高温、中温、低温)に設定します。綿や麻は高温OKなことが多いですが、念のため中温から試すのが安全かなと思います。
そして、アイロンがけの際は、生地のテカリ(アタリ)を防ぐため、必ず「当て布」をしてください。特に濃色の生地は、高温のアイロンが直接触れるとそこだけ白っぽく光ってしまい(アタリ)、一度つくと取れません。ハンカチなどで構いませんので、当て布は必須アイテムです。
パリッと仕上げるコツ(かける順序)
アイロンは、かける順序によって仕上がりの美しさが変わります。「えり → 背中 → 前身ごろ → そで」の順にかけると、シワが寄りにくく綺麗に仕上がると言われていますね。
自宅での洗濯は、浴衣の製造時についていた「のり(糊)」を洗い流してしまいます。クリーニング後のような「パリッ」としたハリ(張り)を復元するには、「キーピング」などの「スプレーのり(糊剤)」を使うのが非常に効果的です。シワが簡単に伸ばせる上に、生地にハリが出て、着用時の見栄えが格段に良くなりますよ!
帯や小物は洗える?頻度は?
「浴衣本体は分かったけど、帯や腰紐はどうするの?」という疑問にもお答えしますね。
帯(半幅帯)の手入れ
回答: ほとんどの「帯(半幅帯)」は洗えません。
理由は、帯には「芯(しん)」が入っており、水に濡れるとこの芯が型崩れを起こしたり、風合いが変わったりするためです。特に古い帯は、芯が紙でできていることもあり、洗うと中でボロボロになってしまいます。
例外的にポリエステル素材の帯は洗える場合がありますが、その場合も必ず洗濯表示を確認してくださいね。
帯の基本の手入れは、「洗う」のではなく「拭く」です。硬く絞ったタオルで汗や汚れを叩くように拭き取り、風通しの良い場所で陰干しして湿気を飛ばすのが基本です。
兵児帯(へこおび)・腰紐(こしひも)の洗い方
ふわふわした兵児帯は、ポリエステルや木綿素材が多いため、洗濯機で簡単に洗えるものがほとんどです。ネットに入れ、デリケートコースで洗いましょう。特に子供用は汚れやすいので、都度洗っても問題ないかなと思います。
腰紐も、洗濯表示を確認し、洗えるものはネットに入れて浴衣とは別に洗います。
洗濯の頻度
回答: 着るたびに洗う必要はありません。
浴衣は素肌に着ることが多いので汗を吸いやすいのは事実ですが、洗濯は(特に水洗いと脱水は)、頻繁に行うと生地や縫い糸にダメージを与えてしまいます。
着用後は、毎回洗うのではなく、「必ず陰干しして湿気を飛ばす」ことを基本とします。特にひどい汚れや汗をかいた時、またはシーズン終了時に洗う程度にし、普段は「陰干し」でケアするのが、浴衣を長持ちさせるコツですね。
浴衣の洗濯機洗い総まとめ
お疲れ様でした!浴衣の洗濯機洗い、思と思っていたより注意点が多くて驚いたかもしれませんね。
今回の記事のポイントをまとめます。
浴衣洗濯機洗いの重要ポイント
- 最優先事項: 洗濯表示で「水洗い不可」でないか、素材が「絹・絞り・箔」でないかを確認する。
- 必須アイテム: 「おしゃれ着用中性洗剤」と「ジャストサイズの洗濯ネット」。
- 必須設定: 「ドライコース(手洗いコース)」と「脱水30秒~1分」。
- 必須の仕上げ: 「パンパン叩いてシワ伸ばし」と「陰干し」、「当て布をしてアイロン」。
- 厳禁事項: 「アルカリ性洗剤・漂白剤の使用」と「乾燥機の使用」。
浴衣の洗濯機洗いは、これらの「Go/No-Go」の判断と、守るべきルールさえ間違えなければ、自宅でも十分に可能です。でも、少しでも「不安だな」「失敗したくないな」と感じたら、無理は禁物です。
この記事で紹介したのは、あくまで自宅でのお手入れ方法の一例です。高価な浴衣や、お気に入りの大切な一着、特に絞りや絹といったデリケートな浴衣は、無理をせず着物専門のクリーニング店に相談するのが、一番確実で安心かなと思います。
最終的なご判断は、浴衣の洗濯表示や素材の状態をよくご確認の上、ご自身の責任でお願いしますね!
